オバマ大統領は謝罪したが、このようなスキャンダルは安倍首相を黙らせることはできなかった。日本はオバマ大統領の謝罪を評価したものの、両国の信頼関係を揺るがしかねないとして深刻な懸念を表明した。一方で日本と隣国との関係が緊迫しているこの複雑な時期に、盗聴が日米の戦略的協力関係を実際に破壊することは恐らくないだろう。ロシア科学アカデミー極東研究所日本センターのヴィクトル・ パヴリャテンコ研究員は、安倍首相とオバマ大統領の発言について、世論を静めるためのものであった可能性が高いとの見方を示し、次のように語っている。
「今回の場合は、ただ反応せずにはいられなかったのだ。なぜならこのような事実が、初めて社会まで届いたからだ。そして老若男女全ての人が、日本の唯一の同盟国である米国が実際にどのような行動を取っているのかを知った。この盗聴をめぐる悲しい事実が表面化したため、オバマ大統領は謝罪を余儀なくされた。一方でオバマ大統領は現在、対ロシア制裁を維持するために、『西の陣営』の団結を保とうと大きな努力をしている。そのため安倍首相がなんとか世論に対して釈明するのをサポートするために、謝罪したのだ。そして実際のところ、『兄貴分』とよばれる大国の大統領が謝罪するというのは、日本社会にとって意味がある。
なお安倍首相が表明した日米間の信頼関係を揺るがしかねないという懸念についてだが、これは恐らく、社会に向けられたレトリックだったと思われる。安倍首相は、集団的自衛権の行使を推し進めるまでは、長期間にわたって高い支持率を維持していた。しかし日本社会は突然不安になり、デモが始まり、様々な町で若者たちが抗議を行っている。そして安倍首相の支持率は低下した。そのため盗聴に関する米国のシナリオと、それに対する安倍首相の反応は、安倍首相の支持率が再び上昇することをある程度助ける可能性がある」。
内部告発サイト「ウィキリークス」は、少なくとも第1次安倍内閣時代から米国の情報機関が盗聴していたとする35の標的を記した「Target Tokyo」と題したリストを公表した。第一次安倍内閣は2006年9月から2007年9月まで続き、安倍首相は再び、総理に返り咲いた。なお鳩山由紀夫氏には、そのような運命の女神は微笑まなかった。複数の専門家たちは安倍氏と鳩山氏の違いについて、安倍氏の親米的な姿勢が同氏の出世を助けたところが大きかったとの見方を示している。
パヴリャテンコ氏は、なお米国は日本の未来の首相たちを必ずしも盗聴する必要はないと指摘し、日本のマスコミの報道に深く目を通すだけで十分だと述べ、次のように語っている。
スプートニク社説