現代中国史および政治が専門のラナ・ミッター氏(オックスフォード大)によれば、世界最大の人数を擁する中国軍の縮小を語る習近平国家主席の言葉に、パレードそのものの雰囲気も合致していた。
「パレードは中国内外のメディアに大きく取り上げられた。パレードは中国が新たな視点で歴史を見直すことを促すものだった。日本に対する勝利に貢献した勢力、共産党だけでなく国民党からも広く参加が見られた。天安門広場でおこなわれた全てのことにひとつの言葉をかぶせるとしたら、それは『平和』だ。中国は全ての出来事の平和な起こりを示したのだ」
次にロシアの米国・カナダ研究所主任研究員、戦略ミサイル軍司令官のヴィクトル・エシン氏のコメントを引こう。
「中国は平和をデモンストレーションした。自分はありあまる軍事力をさらに増大させるような狙いは持っていない、と誇示した。実際平和な時代に230万人の軍人を持つことに軍事的必要性はない。中国は動員資源を豊富にもっている。もし戦争の脅威があれば、いつだって、1000万人以上を動員できるのだ。中国軍に透明性が生まれようとしているのだ。習近平国家主席は中国をより開かれた国とする方向へ一歩を踏み出した」
政治学者のウラジーミル・エフセーフ氏によれば、軍縮は欧米およびインドへのシグナルだ。
「中国は諸隣国と領土紛争を抱えている。こうした中で一方的に軍事力を削減するという手を打った。これは欧米だけでなく、おそらくインドへのシグナルだ。インドは中国をも念頭に(と専門家の多くは語る)核ポテンシャルを高めている。中国はおそらくインドから何らかの返答を待ち受けている。インドからの平和イニシアチブを。中国は、自分は侵略的な国ではない、と見せようとしているのだと思う」
地政学問題アカデミー元総裁で軍事専門家のコンスタンチン・シフコフ氏は、軍縮の背景には経済事情がある、と見ている。中国は軍の装備を一新するために資源、力、資金を必要としており、兵員が少なくなれば余剰の資金が生まれるのだ。
地政学問題アカデミー元総裁で軍事専門家のコンスタンチン・シフコフ氏は、軍縮の背景には経済事情がある、と見ている。中国は軍の装備を一新するために資源、力、資金を必要としており、兵員が少なくなれば余剰の資金が生まれるのだ。