安倍氏は首相として何を最重要課題に据えようとしているのだろうか?この問いについてラジオ「スプートニク」は、新潟国際情報大学、国際学部、国際文化学科の越智敏夫教授にインタビューを行った。
「安倍首相自身は当然、憲法改正を目指しているのだと思いますが、やはりそれは現在の市民運動とか、集団的自衛権や安保関連法案に対する反対意見を見ていると、現在、たとえば憲法9条に関して国民投票を行ったときに、憲法改正が可能になるとは思わないんですね。
ですから安倍首相は公式的には憲法改正を悲願とすると言っていますけれども、やはりそれをできないからこそ、今回の安保関連法案になっている、閣議決定による集団自衛権の容認という方法をとっているのです。だから、実際は憲法9条そのものの改正を目指すのではなくて、現在の憲法のなかでどこまで日米同盟を軍事同盟として強くできるかということを目指すと思います。
それに対外的な問題ではないですが、今の市民運動の声に対する安倍首相の意見などを見ていますと、今後は政府の権限、それも特に三権のなかの行政府の権限のみを強くするような日本政治の仕組みに変えていきたいのだろうと思います。それがおそらく今、安倍首相が目指しているところだと思います。」
Q: 集団自衛権は日本の経済に何らかの影響を及ぼすでしょうか?
A:「当然今、アベノミックスによって日本の景気をよいものにしていきたいというものがありますけれども、やはり経済政策というのは政策担当者が何かを決めて、何かを実行したからといって、期待通りの結果がでるというものではないです。ですから、やはりそれについては自分の政権の中心的な目標とはしないと思います。
それよりも今、自民党と公明党によって一種の安定した政権が作られているうちに、自民党にしてみれば今まで積み残してきた様々な問題、集団自衛権とか、国民のマイナンバーという制度が今回導入されますけれども、そうした国民の情報を管理する法案とか、そういったものを進めるなかで、国内の政治に対するいろんな意見を言いにくくするような仕組みにしていきたいのだろうと思いますね。」