日本の専門家らの間からは、自衛隊が国際平和維持活動に参加した場合、軍事力を行使せざるを得なくなるのではないかという危惧感があらわされている。
自衛隊が平和維持活動に参加する場合、日本にはどういった危険が発生するのだろうか? この問いに新潟国際情報大学、国際学部、国際文化学科の越智敏夫教授は次のように答えている。
「まず自衛隊が平和維持活動に参加する際の行動、作業の種類ですが、憲法9条の集団的自衛権を認めない段階だと協力できることが非常に限定的だったわけですが、これが今回の安保法制で集団的自衛権を認めるようになると、平和維持活動の中で自衛隊が行う作業、またオペレーションの種類が格段に増えることになるわけです。それは実際これまでのサマワでの平和維持活動に比べれば、現在の理論の中ではかなり危険な作業も入ってくるわけで、その意味では自衛隊の権限も拡大するわけですが、同時に自衛隊の作業そのものの危険性も拡大していくと思います。」
Q:平和維持活動への参加で日中関係には影響がでるでしょうか?
A:「とても大きな影響が出ると思います。今回安保関連法案を作り、これを法律にしようとしている最大の原因は日米安保条約だと思うんですね。安倍首相が米国に行って、日米同盟をより強力なものにするということを約束したことがそもそもの発端で、そのことは日本と米国の軍事同盟を強くすること自体が中国に対する刺激となっていると思います。
それとそれ以上に中国が反発というか、今回、日本の問題に対して非常に注目しているのは、第2次世界大戦の日本の軍事行動に対する反省から9条ができていたはずなのに、その9条を無視して集団的自衛権を行使できるようにするという、現在の日米同盟における問題だけでなくて、過去の日本の軍事的行動に対する反省が薄れていっているのではないかということなのです。
そしてそのことと、尖閣列島のような領土問題に関して日中の対立が同時進行として存在しているので、それがやはり今回の集団的自衛権の容認と、日本と中国の間の歴史認識の問題によって一層複雑化しているがゆえに、これが中国の態度を一層硬化させ、反発するようなものに近づけているのだと思いますね。」