ちょうど1年前の9月10日、オバマ大統領はイスラム国の「根絶」を目標に掲げ、「包括的かつ恒常的」対テロ戦の開始を宣言した。無人機や空軍機がこれまでイスラム国の拠点に空爆を繰り返してきた。直接の発端は2人の米国人ジャーナリストが捕虜にとられた末、殺害されたことだ。
以来米国とその同盟国は5万3000回シリアおよびイラクに出動し、イスラム国の拠点と見られるポイントに6700回の空爆を行った。国防総省の公式情報だ。
この間にイスラム国の戦車や石油掘削装置等拠点が1万箇所破壊された。イスラム国戦士を何人殺害できたかは定かではないが、およそ8500人ほどと見られている。
米国とその同盟国による作戦に、37億ドルが費やされた。一日あたり990万ドルになる計算だ。
当然ながら、拠点への大規模攻撃で、イスラム国側に一定の損害は与えている。しかし、取るに足るほどの効果が出ているとも、状況が好転しているとも言い難い。イスラム国は今も版図を広げている。
しかし米国はまだ望みを捨てていない。昨年末、米議会は、シリア政府とともにイスラム国と戦うシリアのいわゆる穏健反体制派の訓練と装備に5億ドルを投じることを決めた。
大規模な資金注入にも関わらず、計画は現時点で既に破綻している。米政府は対イスラム国地上戦を行おうとしているトルコ、ヨルダン、サウジアラビア、カタールのキャンプで年内に少なくとも5000人の戦士を準備できるとしている。現段階では200人しか準備できておらず、54人からなる最初のグループは既にイスラム国の攻撃でほぼ壊滅している。
一方イスラム国の制圧下にある諸地域では、今も市民が犠牲になっている。テロにあい、または有志空軍連合の空爆にあい。シリアだけでイスラム国は子供700人を含む3000人の市民を殺害している。一方有志空軍連合の空爆では市民100人を含む450人が死亡している。
© 写真 : Vitaly Podvitskiオバマvsイスラム国

オバマvsイスラム国
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