先日、小野寺元防衛大臣はロシアの政策変更に関して、憂慮の念を表した。小野寺氏は日本は対露制裁問題で欧米を支持したが、そのために日本は領土問題解決への関心を犠牲にせざるを得なくなったと語っている。日本の大きな憂慮はロシアはクリル諸島に早急に軍事基地を建設する声明を表したことに起因している。小野寺氏は、ロシアの戦闘機が以前より頻繁に日本との国境に現れるようになったため、これを受けて日本も自衛隊機を発動せざるをえなくなったと強調している。
露日関係にはこの段階で何が起きているのだろうか? 先日閉幕した東方経済フォーラムではロシアの実業界からも日本のビジネスからも多くの経済分野での協力に大きな関心が表されたではないか?
アレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使はこの状況について次のようなコメントを寄せている。
「極東ロシアでは日本が参加していない巨大プロジェクトはひとつもない。それらはサハリンのプロジェクトであり、サハリンの液化天然ガス、ヴォストーチヌィ港、サハ(ヤクート)共和国の石炭であり、ウドカンスコエ銅鉱などだが、中国も投資を口にしてはいるが、それでも中国資本が参加した巨大プロジェクトは現段階ではひとつもない。
このように、協力は意欲と関心があれば可能だ。ロシアへの事業進出の条件が多くの場合、日本人の気に沿わないのは別の話で、今、先進発展区域が出現したため、日本人はこの動きに細心の注意を払っている。なぜなら何でも言おうと思えばいえるが、日本人が知りたいのは実際のところ、それは何なのかということなのだ。
これまでロシアの投資環境は一番魅力的とはいいがたいものだった。だから、まぁお手並み拝見というところなのだろう。投資環境が改善へ向かう期待はもてる。
今、日本はロシアと中国が反日を基盤にして連合を組むのではないかと、それを一番恐れている。だから安倍首相はロシアとの対話をよく口にし、ロシアとの平和条約締結に期待を抱いているのだ。 だがこの問題を、日本が非友好的な対露政策をとり、制裁を発動しているときにどう解決するというのか。なぜなら平和条約のためには友好的、善隣関係が必然と考えられているからだ。それに領土問題も袋小路にはまってしまっているが、これは日本にとっては非常に重要なことなのだ…。」
パノフ氏の見解は1956年のソ日宣言を堅持すべきというもの。この宣言では歯舞、色丹の2島を利用するため手渡すことが書かれていたが、この他の2島については言及はない。日本は4島を渡すことを主張しているが、これはロシアにとっては受け入れ不可能だ。双方とも問題解決は必要だと理解してはいるが、この段階ではブレイクスルーが起きる可能性はまずないだろう。