日中を両天秤にかけるベトナム

© AP Photo / Dita Alangkara日中を両天秤にかけるベトナム
日中を両天秤にかけるベトナム - Sputnik 日本
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ベトナムは、中国からの領土要求を退けるために日本の助力も請いつつ、一方で、日米依存を避け、中国とも紛争をこじらせないよう気を付けている。

このほど日本のメディアは、「日本はベトナムに哨戒艦を供給する」と報じた。戦略技術分析センターのワシーリイ・カシン研究員はこの報道を次のように分析している。

グエン・フー・チョン共産党書記長 - Sputnik 日本
ベトナムを中国との対立に向かわせる日本
「日本からの支援は武器や艦隊にとどまらず、沿岸警備用の技術にも及んでいる。日本としては、別段目新しい政策でもない。日本はフィリピン沿岸警備と緊密な連携を確立しており、既に支援も行っている。それをべトナムに拡大しただけだ。しかし、今のところ日本は、ベトナムに本格的に兵器を供給する動きは見せていない。米国でさえベトナム支援はまだ初動の段階だ。米国はベトナム向けの哨戒機供給を解禁したが、現時点ではそれにとどまっている。しかしもちろん中国としては、これは警戒すべき兆候だ。中国の領土要求を受けた国々による統一戦線の結成を、日本が加速させているということなのだから」

スプートニク:反中連合における同盟国として対ベトナム関係を強化する動きを、日本はどこまで進めるのだろうか。

「日本は例によって、この問題においても自立してはいない。米国に追随している。いま日本がしていることは、米国とベトナムの限定的接近の副産物に過ぎない。しかしこの接近を過大評価してはならない。ベトナム自身が、どちらか一方の側に完全に所属してしまうことを望んでいないのだ。ベトナムは米国に身を委ねることには慎重だ。両国間には深刻な不信感がある。ベトナムを統治しているのは共産党であり、そこには反体制派の問題もくすぶっており、米国の内政干渉への恐怖もある。米国が自らの価値観を輸出すればするほど、その恐怖感は高まる一方である。ベトナムを反中連合に組み込もうとする米国の試みの中で日本が演じるべき役割は、むろん、大きい。日本はベトナムが中国に対抗できるようにと、自ら持てる資源を活用していくだろう。しかし、日本は、米国より先を行く気はない。もちろん、南シナ海問題では、日本は米国側、中国と対立する国々の側に立っている。もし米国がベトナムとの協力を急激に強化するなら、日本もそのあとに従うだろう。もし米国とベトナムの信頼関係が根本的に改善し、中国が対ベトナム関係を誤ったなら、それはあり得る。しかし、中国は、ベトナムとの関係がこじれるたびに、関係修復に努めてきた」

スプートニク:ベトナムはおそらく、米国と日本がベトナムを公然と反中連合に引き入れようとしていることを理解している。ではベトナム自身、中国と対立する用意があるのだろうか。

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「いや、無い。ベトナムは政治的自由を最大化するべく、どの国とも関係を良好に保ち、有利な戦略的ポジションを行使する考えだ。今、米国も中国も、ベトナムの面倒を見ている。インドもロシアもベトナムに関心を寄せている。ベトナムは全方位から一斉に大型の投資や技術を受け取ることが出来る。この状況はベトナムにとって快適なのだ。

ベトナムも、南シナ海における中国の行動を容認してはならない、ということは理解している。中国に専横を許してしまえば、地域の戦略的勢力均衡は回復不可能な変容を蒙ってしまい、もはやベトナムにも、超大国間でバランスを保つことが出来なくなる。しかし一方で、中国と関係を絶ち、中国と対立することも、ベトナムは望まない。深刻な行き過ぎ、たとえば、偶発的にもせよ、一方が他方を砲撃し、双方で内圧だとかナショナリズムの高揚だとかいったファクターが重大になった場合には、制御不能なまでに敵対が高じることもあろうが、確立は低い。戦略的観点からは、ベトナムが中国と徹底抗戦に踏み切るなど、愚の骨頂である。そうなれば、ベトナム経済は恐るべき痛手を被り、米国と日本に一義的に依存してしまう。そうすればしばらくのちには政権交代が起きよう。政権交代はかなりハードな、流血を伴うものとなるかも知れない。それはベトナムの望むところではない」

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