南北朝鮮や中国を筆頭に、日本の近隣諸国の政界では、東アジア及びアジア太平洋地域における軍事的政治的状況にとって、安保関連法のもたらす結果について、すでにシュミレーションされている。
自衛隊の役割の見直しが始まったのは、国会内ではなかった。安倍内閣の一連の実際的措置により、あらかじめ運命づけられていたものだ。まず、海軍演習への参加の規模と集中度、地理的条件が目立って拡大された。そして演習も進化した。優先されるのは、敵による突然の攻撃からの離島防衛であり、ミサイル攻撃に反撃するシステムの改善となった。中国や北朝鮮が、米国との軍事演習に日本が加わるたびに、それを挑発と受け止めた事は偶然ではない。
ロシア極東研究所のエキスパート、ヴィクトル・パヴリャテンコ氏は「軍事大国としての日本の役割強化に向けた措置は、米国の支えなくしては不可能だ」と見ている―
「こうした措置は、もちろん、中国や韓国を筆頭に、近隣諸国を心配させ、日本が軍事大国として復活するのではないかとの不安を呼んでいる。一方米国は、中国抑止のメカニズムを強化するため、現在日本をおだてている。日本は、自分達が実際、軍事的政治的な大国である事を示す必要がある。日本政府が、それを考えないはずはない。それゆえ、すべての措置は、まさに、そこに向けられ、日本政府と安倍内閣は、その路線を今後も続けてゆくだろう。軍事協力の発展も含めてだ。それは、形成されようとしている反中国連合に加わる国々への軍事的技術的援助という形で示されるだろう。
あらゆる事から判断して、日本での安保関連法成立後、北東アジアだけでなく、アジア太平洋地域全域が、新たな政治的現実に直面する可能性がある。それに続いて、この地域では、今ある軍事的政治的バランス見直しが、新たなトレンドになると予想される。