合意は、23日から25日にかけて行われる米中首脳会談の枠内で調印される可能性がある。習主席の訪米を前に、米国は中国側に、賄賂行為で悪名高い人物で15年前に米国に出国、事実上逃亡した元企業幹部、ヤン・ツィンツュン(楊進軍)氏を引き渡した。この人物は、中国では公的資金の横領と賄賂行為の容疑者とされている。これまで米国は、こうした人物の強制送還を断固拒否してきた。
だが、制裁は行われないだろう。その代りに、サイバー安全保障に関する合意が調印されるというわけだ。これが結ばれれば、双方は、平和時のサイバー空間で互いを攻撃してはならない義務を負う。発電所、病院、電話ネットワークなど、サイバー攻撃の枠外に置かれる極めて重要な対象が確認される。
ラジオ・スプートニク記者は、上海の復旦(フダン)大学付属米国研究センターのエキスパート、ワン・シャオフェン(汪晓风):氏に、マイクを向け意見を聞いた-
「国家元首の相互訪問は、中国と米国双方にとって極めて重要な意義がある。米中両国は、偉大で影響力を持った大国であり、両国が合意を達成すれば、それは米中のみならず、世界共同体全体にとって有益となるだろう。
私は、サイバー攻撃から米国が被っている損失は、マスコミが書き立てるほど大きくはないと考えている。しかしこの問題は、世論の大きな注意を呼ぶ。習主席とオバマ大統領は、原則的性格を持つ一連の諸問題を必ず話し合うだろう。米国行政府も、これから行われる交渉が実り多きものになるよう望んでいると思う。もしそうなら、サイバースパイ問題は解決されるだろうし、双方は、習主席の訪問後、一定の合意に向けて前進するに違いない。」
なお新聞「ニューヨーク・タイムス」によれば、合意は、国家機関や商業施設に対する、産業スパイを目的とした攻撃には触れないだろうという事だ。米国の主張によれば、それらは、中国領内から侵入するものの大部分を占める。別の言い方をすれば、これは、二国間関係の中心的問題であり、トップによる交渉つまり、オバマ・習会談でのみ取り上げられるものだからだ。
オバマ・習会談が、両国間の「サイバー戦争」の熱を冷ます極めて多岐な予防的意味を持つだろうことは、言うまでもない。しかし米国に対するもの、米国領内から中国に対するものも含め、大部分のサイバー攻撃に対し、何らかの保護が保障されるのかどうか、それは分からない。
まさに孟書記との間で、米国側は、将来の合意の枠組みについて合意ができたのだろう。これは、ハイレベルでの妥協だ。その中で米国の主な懸念について何も述べられていないならば、すなわち、いつでも中国に対する制裁導入が可能だ。4月に米国防総省が発表したサイバー攻撃に軍事的に反撃する新しい戦略に基づいて、それは行われるだろう。その戦略文書の中では、中国は、まさに米国のバーチャル空間での敵と呼ばれている。
一方、将来的に合意が、国家的、産業上の秘密を盗み出す目的での攻撃に言及しないならば、中国に対する非難も宙に浮く事になる。つまり、この問題がやはり存在し、米中関係をかなり暗くしている事実を認めることになるということだ。