「マイカーのない日」を設けるというアイデアは、フランスで生まれた。1998年、20都市の住民の一部が「カーフリーデー」に参加した。そして次第に英国やアイスランドもこの運動に参加するようになった。2001年までにこの運動は大規模なものとなり、「カーフリーデー」は35カ国で公式に認められた。人気の科学雑誌「エコロジーと生活」の編集長アレクサンドル・サムソノフ氏は、自動車が現代人の生活でどのような役割を担っているのかを考慮した場合、たとえ1日であったとしても、自動車の利用を控えることは重要な一歩であると指摘し、次のように語っている。
「『カーフリーデー』は、徒歩による移動を促進するために考え出されました。自動車の利用を制限するという案は、主に環境保全活動を行っているグリーンな団体が提案しているものです。自動車、テレビ、パソコンなどは、私たちの文明の最もハイテクな製品です。しかしテレビやパソコンは、スマートフォンの大きさにまで小さくすることができますが、自動車まだできません。自動車は工業化時代の始まりと共に私たちのもとに訪れた時のままで、未だに私たちはその内部を変えているだけで、自動車の枠組みを大きく縮小させることはできずにいます。スマートモデルはありますが、それはまだ十分に発展していません」。
「カーフリーデー」は欧州で、政治家たちが自分のイメージを改善させるための手段となった。分析機関「オートスタート」のパートナー、イーゴリ・モルジャレット氏は、次のように語っている。
「これは欧州の大都市を初めとした大きな都市の負担をどのようにして軽減するのかを示すのに役立つ非常に重要な運動です。高官たちはこの日、自転車、ローラースケート、公共交通機関など、環境に優しい乗り物に乗り換えて町を移動しようとします。通常、欧州ではこの日、町の負担が大きく軽減されます。」
一方で、人々がマイカーの利用を完全に放棄することは、まだ不可能だ。
「カーフリーデー」は、健康的なライフスタイルを送る必要性について人々に思い出させるための手段のようなものになってきている。サムソノフ氏は、環境や人間の健康に悪影響を与えるのは町を走り回っている自動車ではなく、数キロにも及ぶ渋滞にはまっている人たちだと指摘し、次のように語っている。
「実際のところモスクワで大気汚染の90パーセント以上を引き起こしているのは自動車です。私たちが、モスクワの大気汚染の主な原因となっている汚染物質を排出している『偉大な汚染源』をストップさせたなら、すぐに環境に肯定的な影響を及ぼすでしょう。一方で環境規制制度「ユーロ5」では、汚染はそれほど感じられません。しかし大気汚染の最も重要なファクターは、自動車ではなく、渋滞だということです。『自動車の群れ』によって、どこにも動くことのない雲ができます。もし自動車が時速60キロの適切な速度で走行すれば、道路は設計どおり、風通しがよく、換気されます。渋滞は設計の際に考慮されていません。そのため町にとって最も危険なのは渋滞です。」
その他にも「カーフリーデー」は、道路の状態、公共交通機関の換気、またマイカーの窓からは眺める機会が少ない町自体などにも、人々の関心を向けさせる。