西側のリーダーらは安倍首相も含めどうしてウクライナ情勢についての正確かつ客観的情報を得られないのだろうか? ウクライナには改革もなく、民主主義など匂いさえしないというのに。ラジオ「スプートニク」からのこの問いに有名なロシア人東洋学者で歴史家のアナトーリー・コーシキン氏は次のように答えている。
「先進国の首脳らは全てウクライナで起きていることについて客観的情報を掴んでいると私は確信している。彼らはウクライナでやっためたらに横行する暴力と無法状態が、良くてもどこにもたどり着かず、最悪の場合はひどく悪化し、戦争を孕んだ緊張にまで達しかねないことをよくよく理解している。ロシアでは、欧米人はウクライナが全面的な戦争状態に陥ることを期待していると書き立てられるが、私はこれには賛成していない。欧米人は十分賢く、戦争に急ぐことはない。だが! 彼らは戦争瀬戸際の状況を維持しつつ、危険なゲームを行い、ロシアの注意をそらし、努力や資金を無に帰している。欧米にはこのことが必要なのだ。
キエフの現行体制に支援する日本の立場にロシアがどういう態度を示しているかといえば、これは何度も表されている声明やロシア側の具体的行為に現われている。この間にロシア人の役人、政治家らは南クリルを視察したし、日本にはクリル諸島付近の水域での流し網漁が禁じられるなど、露日関係にはたくさんのことが起きたが、私個人としては、これらは日本がウクライナ問題でとった立場を考慮して採択されたものだと捉えている。
私にはわからないのは、日本の首相が、ポロシェンコ支持をアピールしつつ、プーチン大統領をいわゆる領土問題交渉を続行するよう説得できたのかということだ。外交ではそういう行為はとられない。ここ最近の日本政府の政策には実に多くの矛盾がある。日本のとる立場は羨むに足らない。それに日本人自身も公式的ではないものの、米国のコントロール下にあることを認めている。だがこれは危険なことだ。現在、核爆弾がドイツ領内に配備されるとして大きな騒ぎになっているが、これと同じ状況が日本で起きないことを望む。
日本には自身がウクライナに足を運び、現地で謳歌している違法な状況やポロシェンコ体制に客観的な評価を下す真面目な政治家やジャーナリストらが存在している。だがこれらの人々には日本人らにウクライナ情勢の真実を伝える可能性が与えられていないのだ。この意味で鳩山元首相のクリミア訪問は日本や各国がとっているプロパガンダ封鎖におけるブレイクスルーとなった。日本のマスコミが客観的にウクライナ情勢を報じれば報じるほど、日本政府には日本国民に一面的な視点を押し付け、キエフ体制への支持を正当化することは難しくなる。ウクライナ情勢が日本の対露関係を恐慌化させた一因だといわれることもある。だが実際はこれは主要かつ唯一の原因なのだ。日本にはウクライナ危機が始まるまでは、ロシアに対し非友好政策を採らねばならない理由は一切なかったのだ。」