だが長年にわたるこの研究が、米の火星探査機「キュリオシティー」に設置されたロシアの装置DANを使って行なわれていたことはあまり知られていない。活性中性子検出器DANによって火星の表面は1メートルの深さまで透けて見え、これによって得られたデーターから判断して、火星かつて原子的な生命体が生まれるために適した環境を持ち、地球に近かったと推測することが可能となった。
宇宙調査研究所のレフ・ゼリョーヌィ所長は人類による宇宙開発分野のこうしたニュースを同研究所の創設50年を記念した記者会見で明らかにした。ゼリョーヌィ所長によれば、宇宙における諸国間のライバル競争はここ15年間、プラグマティックな協力に姿を変えている。宇宙調査研究所は多くの国際プロジェクトに参加し、NASA、欧州宇宙機関、日本のJAXAなど、諸外国と積極的に協力している。
「現在、米国の4つの機器でロシアで作られた装置が作動している。これらは厳しい選抜を潜り抜け、コンペで米国や他の国の装置を負かして選ばれたものだ。ロシアの装置を使用した火星の表面の調査は2001年から行われている。最初に使われた装置HENDは火星と月の土壌の遠距離での探査を行なっていた。その後、2009年からは中性子検出器LENDが使われ始めた。これは今日でも月の周りの軌道で使われている。そしてこのDANだが、キュリオシティーに2012年から設置されており、DANのおかげで火星で氷の表層の残りが見つけられた。ロシアは米国と非常に緊密な活動を行なっている。金星への共同飛行が実現することで露米の宇宙開発は新たな段階に出ることになる。来週にも金星への飛行準備に関して露米の宇宙機関は交渉を開始する。このミッションは2025年以降に実現すると思う。基礎にはおそらくロシアの『ヴェネラD』プロジェクトが使われるだろう。」
今日、ロシア科学アカデミー宇宙調査研究所はロシアおよび世界の宇宙調査の最重要な中心地に数えられている。その職員らは調査を行い、地球から近い宇宙空間、遠い宇宙空間の研究、地球の遠距離探査、その他の宇宙科学分野での装置の開発を行なっている。ロシアで作られた宇宙機器の自動ナビゲーション用装置はロシアのみならず数十機の人工衛星で作業しており、成果をあげている。そのほか研究所では地球の人工衛星モニタリングの情報サービスが開発され、用いられているが、これは森林の状態、火災の様子、台風の動き、火山活動など多くの現象の判断に役立っている。