有名な東洋学者のアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使は菅官房長官の楽観主義とは意見を異にしている。
ラジオ「スプートニク」:平和条約の主たる問題で立場が異なるのであれば、日本はなぜ、あんなにもプーチン大統領を待っているのか?
パノフ氏:「第1に、安倍氏自身はこの訪問を非常に望んでいる。それはロシア大統領との直接的な対話を目指す自分の路線が成果を出していることを見せるためだ。日本はなぜか、ロシアの外交政策を決めているのは外務省ではなく、プーチン大統領個人だと思い込んでいる。今ロシアは苦しい立場にあるのだから、大統領から必要な決定を得られるのではないかというわけだ。これと同じだったのがエリツィン時代だ。だがこれは何の結果も生まなかった。それでも安倍氏がプーチン大統領と交渉を行わねばならないのはもうひとつ、ロシアと中国が反日というプラットフォームに立って接近することを許さないためだ。こうした事態となれば、日本にとっては悪夢でしかない。
第2に、安倍氏は自分のしいた対露関係の発展路線実県になんらかの進展があることを本当にアピールせねばならないのだ。米国がこの路線を良く思っていないことを示す証拠はますます挙げられている。米国務省の論拠のひとつに、我々はあなたに「その必要はない」とは言わない。ほら証拠にあなたは何も達成しなかったではないか。ところがあなたの行為は対露関係に関して西側の一枚岩の姿勢を侵食している。
「スプートニク」:だが安倍首相は中国、韓国の首脳との最高レベルとの3者会談に参加する構えではないか?
パノフ氏:「会談はおそらく何の結果も生まないだろう。大事なのは会談ではなく、実際の政治や実際の行動だからだ。」
「スプートニク」:プーチン大統領の訪日はロシアに何をもたらすか?
パノフ氏:「訪日が成立する兆しは何にも感じられない。だが訪日が成立したとしても、1度の訪問では何も変わらない。しかも訪問へのしかるべき準備は行われてもいない。」