「IS」の側からのロシア社会に対する影響について、ラジオ・スプートニク記者は、ロシアを代表する東洋学者の一人、国立サンクトペテルブルグ大学のウラジーミル・コロトフ教授に、意見を聞いた―
「心理的健康に問題があり、弱点がある人達が、彼らの目的や行動モデルを変えようとするプロパガンダの影響を受ける。彼らは『IS』部隊に入隊しようと、トルコを経由してシリアへと向かい、軍事行動に加わっている。彼らをとらえている夢は様々だ。世界的なカリフ国家の創設に向けた聖戦に参加したいとするものから、イスラム聖戦士の中に自分の夫を見つけ出したいと願うものまでいる。最近、全く恵まれた家庭で育った娘達が、すべてを捨て、チケットを買ってトルコに逃亡するという、いくつかのケースが話題となった。『IS』メンバーの募集(リクルート)は、若者を惑わせ、彼らを他人の戦いの生贄、大砲の餌食とするために、現代の最新テクノロジーを駆使して行われている。欧州文化を身につけた若者向けには、彼らの心理的ガードを突破する、特定のパターンが作られている。その結果、彼らは、すべてを捨て、戦闘ゾーンに向かい、そこで非業の死を遂げるのだ。
『IS』メンバーの最も危険なリクルートが行われているのは、インターネットのサイトを通してである。それは、特に人々を処刑したりする映像などを含んでおり、見るものに強烈な影響を与えている。心理的に不安定な人々は、膝を屈し、自分の安全を守るために、最も残酷な過激派グループに、あらかじめ加わろうと試みるのだ。しかし現実には、そうした人達は、あっという間に、人生と別れを告げ、大砲の餌食として使い捨てされる。こうしたサイトは、ロシア領内に存在するのではなく、絶えずアドレスを変えている。」
「IS」の考えがインターネットで拡散される危険性については、国際社会も認識している。マレーシアのラザク首相が、国連本部で、アセアン諸国に「『IS』の支持者達は、新規メンバーを募集するために、ソーシャルネットワークを積極的に利用しているゆえに、インターネット領域を含め、我々は、テロリズムと戦うため力を合わすべきだ」と訴えたのも決して偶然ではない。マレーシアは又、東南アジアに、インターネットを通じて過激なイデオロギーを広めることを阻止するための統一センターを設立することを提案した。一方ロシアの専門家達は、ソーシャルネットの疑わしいページを調べ、テロリストあるいは募集担当者である可能性の高い人物のIPアドレスを特定するプログラムを作っている。
又、サンクトペテルブルグ大学のコロトフ教授は「IS」メンバー募集のため、薬物、特に向精神薬が用いられていると主張している―
麻薬取引以外に、今日、さらにもう一つ、テロリストにはビジネス・チャンスが生じた。原油の密輸である。プーチン大統領は『我々は、不法な原油を誰が売り、そして誰が買っているか知っているが、そうした輩には、制裁が導入されていない』と指摘した。」
原油の密輸から何千万ドルもの収益を得ることで、テロ組織は、戦闘員のみならず、心理学の専門家をも、リクルートする事が出来ている。そうしたスペシャリストが、多くの人にとって危険な心理操作のテクノロジーを開発しているのである。そうしたテクノロジーは、心理的に不安定な人々を『IS』の部隊に引き込むために用いられ、そうして集められた人々は、ただで(給料も払われずに)戦い、吹き込まれた理想のために死んでゆく。そうしたリクルートは、ロシアのみならず、西欧の国々でも行われている。ゆえに、この現実の恐ろしい脅威に対抗するために、我々は、知的な力、そして実際的な力を一つにまとめなければならない。