航空問題の専門家でジャーナリストでもあるティム・ヴァン・ベーフェレン氏は「飛行の安全に対する責任については、ウクライナ政府も、又マレーシア航空自体も保障すべきだった」とし、次のような考えを示した。
「自分達の領土で戦闘行為が続いている国には、飛行の安全を保障する基本的な責任がある。今回の場合、ウクライナは、上空を閉鎖しなければならなかった。それ以外に、航空会社にも責任がある。紛争は、飛行の前日に始まったわけでは決してなく、悲劇が起きるまで、明らかに状況認識が正しくなされていなかった。
航空会社の課題は、乗客を起こりうるリスクにさらさないようにすることだ。今日我々は、そうした状況をシリアで目にしている。航空会社は、紛争地を通るルート、例えばシリア上空を横切るルートは、リスクが高く、民間機の飛行を許してはならない。
私は、裁判所の決定に先んじてものを言いたくはないが、国際法廷が招集されれば、きっとウクライナ政府の職務怠慢が告発されると思う。」
同様の意見を、航空問題の専門家で大手コンサルタント会社「Grossbongardt Kommunikation(グロスボンガルツ・コミュニケーション)」の創設者ハインリヒ・グロスボンガルツ氏も、ラジオ・スプートニクのインタビューの中で述べている。
「まず第一に、これは、その国土の上を航空機が飛行する国の責任だ。国は、他の国々や航空会社に、リスクの可能性についての情報を伝え、部分的に上空を閉鎖するか、あるいは何らかの別の飛行制限を導入する義務を負っている。その他、それは、ある程度他の国々の義務でもある。例えば、米国の民間航空局は、米国の航空会社に対し、一部の国々あるいは地域の上空の通過を禁止できる。そして第三に、航空会社自体にも責任がる。彼らは、飛行ルートを定期的に分析し、しかるべき変更を加える義務がある。」
今回の事件を、航空界は教訓とすべきだ。マレーシア航空機MH17便の墜落は、危機的な状況にある地域の上空のリスクと脅威に対する評価が、今まで十分しかるべき形でなされていなかったことを示した。そうしたプロセスが、より建設的なものとなり、国家レベル及び航空会社レベルでの情報交換が、集中的に行われるよう期待するばかりである。