このテーマについて、有名なロシア人東洋学者のアレクサンドル・パノフ元駐日大使はラジオ「スプートニク」からのインタビューに次のように語っている。
「まずは話し合うための共通のテーマくらいは見つけねばなるまい。ところがこうしたテーマは減る一方だ。日本は米国と同様、ロシアが自国の航空宇宙軍を使ってシリア危機の解決に参加したことに反対する姿勢をとったという発表があった。こんなふうに立場の違いがまたひとつ増えてしまった。
ラジオ「スプートニク」:日本は米国の立場を繰り返し、ウクライナ問題でロシアを批判した。シリア問題での批判も日本の米国依存度が招いた結果のようだが?
「そうだ。日本のプレスは公式的な代表らの発言を引用し、ロシアのシリアにおける立場は日本側からの批判の補足的要因を抱えていると報じている。これは露日関係には何の益ももたらさない。」
「スプートニク」:平和条約のテーマに戻ると、対話をより建設的なものにできるような、どういった譲歩を日本から期待できるだろうか?
これはイルクーツクの例で、ロシア側ははっきりわかったではないか。ロシアは領土問題解決のプランを1956年のソ日共同宣言に基づき、平和条約締結後、日本に2島を返還する案を押し出したが、日本は小泉政権が発足すると、このプランを蹴ってしまった。というわけで、我々はもう15年も同じ場所で足踏みをしている状態だ。
このため、実務レベルでキメの細かい作業を行い、様々な妥協案を説得して行くことが必要だ。妥協が何になるのか、それは現時点では全く想像ができない。何であれば日本側が合意し、何であればロシア側が首を縦に振れるのか。これはそれぞれの指導部からの命令を受けながら、交渉者がやるべき仕事だ。
たとえば、日本が退けた、1956年の宣言に依拠するという案は、今日本には受け入れられるものだろうか? 私にはわからない。ではロシアはこれを受け入れることができるか? それも私にはわからない。これは交渉の問題なのだ。」