訪問日程によれば、エリザベス2世女王が歓迎式典を主催し、さらに、習氏を非公式のランチと、公式のディナーに招く。中国の首脳に特別な敬意を示してのことだ。英国の外交プロトコルによれば、英王室が国家訪問を受け入れるのは、年にわずか2度のみである。
この間両国メディアにはおびただしい数の好意的なコメントがあふれるだろう。中国の専門家らによれば、中国首脳の英国訪問は中英関係発展に資するにとどまらず、中国とEU全体の関係にも風穴をあける。先にも述べたが、習主席にとってはこれが初の英国訪問である。その重要度は2005年に行なわれた胡錦濤主席(当時)の訪英に勝るとも劣らない。2005年当時、両国関係は全体としてさほど充実しておらず、特に人権問題が取りざたされ、チベットの民主活動家らの反中キャンペーンなどもあり、訪問の意義も薄れていた。
しかし今は人権問題で中国と西欧の関係が曇らされることもない。西欧諸国自身が、「中国に圧力をかけても意味がない」との理解に立ち、人権問題を棚上げにしてしまった。もちろん中国との経済協力の発展に対する関心が高まっていることも大きい。中国は強大な経済大国であり、グローバル経済の救い主として受け止められている。今回スプートニクが取材した中国国際問題研究員副研究員のワン・ウェイ氏も、そうした見方に同意している。
「貿易経済協力は中国と欧州の戦略的協力関係における確固たる要素だ。政治の面では両者は互いに信頼しあい、尊敬しあっている。経済の面では両者は相互利益、共通の利益を追求している。欧州諸国は債務危機後の経済復興に取り組んでおり、それを加速させるために中国の投資、技術、設備、専門家を必要としている。これらは中国の得意とする分野だ。中英関係を発展させることは双方の国民の共通の願いであり、共通の利益なのだ」
英国は米国の圧力にあいながらも、中国の提唱するアジアインフラ投資銀行に真っ先に加わった。習氏がロンドンで行なう一連の会談では、この方面の両国関係の展望についても討議がなされるだろう。一方の中国はグローバル規模の投資家になるという野心をもち、他方の英国は世界金融の中心地として長い伝統をもつ。そんな両者の金融協力の展望は非常に明るい。