米国の日刊紙「スター・アンド・ストライプ紙」が米空軍第6航空団の発表を引用して報じたところによれば、演習の目的は、同時に複数のミサイルを迎撃する際の同盟国間の協調行動の策定。演習には米国以外もNATO全加盟国(英仏独伊西蘭ノルウェー、カナダ)8カ国が参加している。
ロシア戦略調査研究所の主任顧問で軍事専門家、政治学者のウラジーミル・コジン氏は演習および欧州展開のMD自体は何よりもまずロシアに対抗したものとの見方を示している。
「米国が開始した演習ではNATO加盟国の小編隊の全てが参加し、英仏の核大国のものもこれに含まれる。NATO加盟8カ国が参加し、これだけの規模でミサイル防衛演習を行うのは初めてのことだ。つまり非常に強力なストラクチャーができあがることになる。これが我々に向けてのものではないというのは全て作り話だ。米国はロシア、中国に対する自国の軍事力強化を実現化させている。これは核攻撃とMDという2つの主要なオブジェクトだ。米国は自国のMD展開を間断なく続けている。」
コジン氏は、ロシアが然るべき報復を与える能力があることは、シリアでのイスラム主義者を相手にした闘いで証明済みだと語る。
「ロシアは報復すべき手段を持っている。カスピ小艦隊から10月7日に『IS(イスラム国)』の陣営に対して発射された巡航ミサイルだけを取ってみても明白だ。これは米国およびその同盟国らにとってはMDの自尊心を見事にくじかれる事態だった。」
コジン氏は、欧州自体がこの状況では米国の国益の人質になりつつあると指摘する。
「欧州は今日、米国米国の軍事分野での誤った政策の人質になりつつある。一般の欧州市民を脅かしているのはもちろんMDシステムであり、今までになかった爆弾B6112のような欧州に現われた米国の新型戦略兵器だ。だがこれがNATO諸国のより上層部の軍事政治指導部を憂慮に陥れることは決してない。彼らは米国の意思をだまって遂行してきたし、未だにそういう態度を続けている。」