「アサド氏がシリア国外で行った初の会談の相手がプーチン氏だったという事実が注目に値いする。これはつまり、シリアの移行期においてロシアがどれだけ重要な役割を演じているかを示している。
反アサド陣営は、シリア正常化プロセスおよび移行期においてアサド氏をこれに参加させる可能性を討議し始めた。今ある情報から判断すると、この問題に関する当事者らの立場は徐々に近づきつつある。少なくとも、政治プロセスにアサド氏を含めるのは絶対反対という考えはもう見当たらない。
ここにあるのはアサド氏の立場を強める2つの主要なファクターだ。ひとつは、ロシアの支援のおかげでシリア大統領が国内の反体制派に対抗する上で得られる優先的立場。
2つ目のファクター。これはロシアとシリアの共通戦略の枠内で行われるロシアの支援。これは両首脳の会談で決められたもので、将来のシリア正常化交渉の過程で拡大していくものだ。」
独の月刊誌ZUERSTの編集長でシリア危機の報道に詳しいマヌエル・オクセンライター氏は、アサド氏にとってプーチン大統領との会談は自らの立場を強化する上で強気の一歩になったとして、次のように語っている。
「アサド大統領は公から姿を隠すことは決してなかった。アサド氏は定期的に演説を行ってきている。これはシリアにおいては絶対的に必要不可欠なことだ。
戦争が開始された2011年から2012年、情報戦争はアサドは逃亡中だ、もしくはロシアの空母か、アラブのどこかの国に隠れているのだと書きたてた。 このためアサド大統領は、自分が闘い、働いているところを見せる必要が大いにあった。
数年前、アサド氏は、自分は職務を捨てない、自分を選んでくれた国を捨てない、この国を戦争から抜け出させてみせる、もし死ぬことがあったとしても、シリアを捨てることはないと語っていた。このときアサド氏は多くのシリア人にとって真の意味での大統領になったのだ。
だから今回のプーチン大統領との会談は、アサド氏の立場を強化する非常によい手だった。シリアの親ロシア的な感情は非常に強い。」