両都市にとって特にアクチュアルなのは、輸送・スポーツインフラの発展である。モスクワは2018年のサッカーW杯開催に向けて、準備を加速させている。一方の日本は2019年にラグビーW杯を開催する。その翌年には五輪が待っている。日本には半世紀にわたる道路交通問題への取り組みがあり、モスクワはそれを継承したい考えだ。1964年の東京五輪に際しては、数百kmもの道路、多数のインターチェンジが新規建設され、悪名高かった渋滞が解消された。一方の東京は、モスクワを先生の一人として、大型スポーツイベントの開催経験を学びたい考えだ。
モスクワ市の都市建設政策および協力担当副市長、マラト・フスヌリン氏によれば、モスクワ市は日本の投資、ならびに日本の専門家による交通問題への取り組みを共有することに多大な関心を寄せている。モスクワでは新たに169の「交通輸送ハブ」が建設される計画である。東京にあるのと同様のものだ。また、モスクワ市は、地下鉄建設について日本企業と協力を進める意向だという。フスヌリン副市長のコメントをご紹介する。
「日本の大手設計事務所、日建設計は、モスクワ地下鉄ボタニーチェスキイ・サード駅周辺の再開発事業に取り組んでいる。一日200万人の利用を見込む、彼らの交通輸送ハブ建設案を拝見した。日本企業の道路建設および管理に関する経験は間違いなく有益であると考えている。ところで、個々の交通輸送ハブはその設置場所の特性にあわせて個別的に設計される。重要なのは、交通輸送ハブを一つの移動手段から異なる移動手段へ乗り換えるための便利な中継点とするのみにとどまらず、ハブとなる地点そのものを魅力あふれるスポットとすることである」。
モスクワ市には2020年までに271箇所もの交通輸送ハブが建設される計画だ。うちの96に広大な駐車場が併設され、自家用車から地下鉄に乗り換えられるようになる。残りの175は、ショッピングモールやホテルなどを擁する商業集積地となる。フスヌリン副市長によれば、既に日本を含む各国の企業が、交通輸送ハブに併設される商業施設その他の不動産建設への関心を表明している。
モスクワ市と東京都は四半世紀前から姉妹都市協定を結んでいる。加えて両都市は、本格的な経済パートナー同士でもある。モスクワ市国際課によれば、現在モスクワには日本企業が369社進出している。ロシアで投資保護法が採択されてからというもの、日本の実業界はモスクワ市における投資案件を研究するようになっている。