合意の主な結果により、トルコにおよそ30億ユーロが拠出される。なぜならシリアからの難民の大部分が、トルコ経由で欧州諸国へ入国しているからだ。トルコは、同国に滞在する難民のために、より快適な条件をつくれることを示さなければならない。欧州は、遅かれ早かれ、トルコのパートナーたちに、難民をトルコで引き受ける必要があると思わせることができることに期待している。もう一つの課題は、犯罪グループが確立した、難民が欧州入りするルートを破壊するメカニズムを見つけることだ。EUでは、トルコとのビザ免除措置を導入する準備を加速する用意について真剣に議論されている。しかしEUはまだ、ビザ免除のための基準を緩和する用意はない。これに向けてトルコはどれほど準備が出来ているのだろうか?結論について述べるのは、来年の春まで待たねばならない。ロシア国立大学「経済高等学院」世界経済国際政治学部のイーゴリ・コヴァリョフ第一副学部長は、「一方で欧州が難民問題の解決に向けて一つの方向性で発言することを学んだと述べるのはまだ早い」との考えを示し、次のように語っている。
難民の大量流入によって発生した危機は問題を前面に押し出したが、欧州はたとえ「良い年」であったとしも、この問題について語るのを好まず、「悪い年」であればなおさら嫌がる。地政学鑑定センターの所長で、ロシア社会院のメンバーでもあるワレリー・コロヴィン氏は、現代の欧州における官僚は、「動作のにぶさによってシステムが崩壊することの実例」となる可能性があると指摘し、次のように語っている。
「EUのような、『粘土でつくられた足を持つ巨像』に率いられている現在の欧州の閣僚たちの動きはにぶい。彼らがもたもたしている間に欧州の中身が変わってしまう可能性がある。ここでは、少なくとも国家形式で、迅速かつ断固とした行動が必要だ。動きが鈍いEUのマシーンでは、これに対応できない」。
しかし、欧州の役人たちは、未解決の問題が増え続ける中でさえも、このマシーンをより軽快にする用意は今のところないようだ。