中国経済成長鈍化の傾向が顕著になってすでに長い。中国内外の専門家らはこの傾向は外国市場、特にユーロ圏、米国の状況と、また拡大成長に基づき、輸出部門の拡張を優先にした今までの経済政策の見直しに関係して起きているとの見方を示している。
中国の人々は「新常態」(新たな正常な常態を示す)の条件下での暮らしに馴れ始めている。「新常態」とはGDP成長率が毎年10%以上伸びていた時代とは著しく異なる。現在の成長率はこれよりずっと控えめの約7%前後。おそらくこの傾向は2020年までは維持される。専門家らは、この時期に経済成長のモデルは変化を遂げると予想している。そうした中で指導部の主たる注意が向けられている先は成長率ではなく、内需に根ざした、よりバランスの取れた経済となるだろう。全体として社会はより協調のとれたものとなり、沿岸部および内部の地域の発展の歪みも修正され、財産の不均衡もならされるため、「中間層社会」の構築課題の解決に重要な一歩になるだろうと予想されている。
中国政府は構造上の適正化は痛みを伴わずに終わると信じきっている。経済は新たな質を得て、しかも社会の安定、外国人資本家の信頼性も維持される。モデルが変化したにもかかわらず、中国は依然として外国からの投資と技術を必要としている。経済の新たな状況が中国の対外的な開示性に影響を与えず、中国を地域の、そしてグローバルな統合プロセスに、特にシルクロード経済ベルトやアジアインフラ発展銀行の枠内の統合プロセスにより引き入れていくための刺激となることは疑いようもない。露中協力のよい展望が維持されているのは、伝統的なエネルギー分野だけでなく、ハイテク分野でも同じだ。
楽観的なシナリオが作動するためには政治的意思が必要であり、将来の改革深化について困難な決定が欠かせないだろう。何よりもまず、それは中国経済の国家セクターの改革であり、つまりはその効率を引きあげ、汚職のようなネガティブな現象から解放せねばならない。現在行なわれている総会は第13回5カ年計画の検討を掲げているが、汚職対策にもやはり言及はされる。エリートに対するより厳格な政策は役人の振る舞いにずいぶん前から不満を抱いてきた社会の連帯へとつながる道であるだけでなく、これは複雑な歴史的段階で改革を成功させるための担保でもあるのだ。
透明で効果の高く、悪用されることのない機関なしに経済の構造改革を望むのは難しい。総会前日に党の機関紙の多くが人材の選択、配置問題に注意を向けたのも偶然のことではないだろう。公式的なデーターでは2012年の第18回大会の結果選出された中国共産党の半分以上の党員が他のポストへ配置換えされたり、辞職させられている。プレスはこうした配置換えを党の歴史では珍しいことと書きたてる一方で、この汚職対策はこれからも続けられるだろうと指摘している。本総会で人材問題の解決が図られるかどうかという企みが残るが、いずれにせよ、これは複雑化する社会に対する党の管理能力の強化を図ろうとする習国家主席の決断力を示す重要な指標となるものだ。