被害女性は既に90歳を超える高齢になっており、日本政府は可及的速やかに、被害女性たちにも受け入れることが出来るような解決策を提示しなければならない、とパク大統領は述べ、ソウル会談で日本側が何らかの提案を行うことへの期待を示した。歴史問題で日韓関係は近年著しく冷え込んでいる。日中関係についても同様だ。終戦70年の今年、日本による占領や、それについての謝罪といった問題がアクチュアリティを増している。ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究課のワレリイ・キスタノフ代表は次のように語っている。
一方の日本は、この問題は解決済みである、との立場だ。日本はたしかに、二国間関係回復の時点で、日本の行為によって苦しめられた全ての人に対する謝罪というものを行っている。しかし韓国は、安倍氏はそのナショナリスティックな立場のために、問題を問題として認める用意が単に出来ていないだけだ、と見なしている。韓国は日本に対し、被害女性の「名誉回復」のために追加的な方策を取るよう要求している。これが韓国の原則的立場であり、おそらくは今後もこれによって日韓関係は曇らされるであろう。何しろ双方ともに自らの主張をしばしば政治目的に利用するのであるから。そう語るのは朝鮮専門家のコンスタンチン・アスモロフ氏だ。
「この深刻な問題がしばしば投機的に利用される。しかし日本も韓国も、公式の立場は、ともに現実と食い違っている。韓国側は性奴隷の数を5万から20万人と評価している。しかしこれは正確な数字とは言えない。また日本の立場も正確を失している。何しろ日本政府は、女性たちは望んでその仕事に従事していたのであり、強制性は一切なかった、と言っているのだから。もし日本政府が問題を認めたとしても、誰もが言い募るだろう、泣いたり後悔したりするのは沢山だ、新しい世代が育っている、過去の犯罪の責任を彼らに押し付けるいわれはない、と。韓国ではこの問題は一種の神話となっており、反日気運をかきたてるための一種の政治的てことして、定期的に利用されるようになっている」
日中韓三カ国サミットの前夜、韓国の社会団体70あまりが安倍首相の韓国訪問に反対するデモを行った。韓国は、日韓を近づけ、北東アジアの三カ国軍事同盟を強化しようとする米国の勧告を無視して、日本とのハイレベル会談を長らく拒んできた。第二次世界大戦中の日本の占領地における強制売春の問題やトクト(日本名竹島)をめぐる未解決の領土問題は今後も日韓関係に害毒をなす刺であり続けるだろう。刺の一本なりとも安倍首相は引き抜けるかどうか。ソウル会談の結果を待つことにしよう。