南シナ海の人工島は生命を殺している

© AP Photo / Leo Correa日本の学者ら、プラスチックごみの南極への影響を調査
日本の学者ら、プラスチックごみの南極への影響を調査 - Sputnik 日本
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南シナ海の領有権争いは緊張度を増した。諸国の立場の違いは先日の拡大ASEAN国防相会議にも悪影響を及ぼし、共同声明を表すための対話もそがれてしまった。だが政治、軍事の指導者らの人工島の建設への態度がそれぞれ異なったとしても、学界での見解はひとつに固まっている。

ベトナム・ロシア熱帯センターのアンドレイ・クズネツォフ共同所長は、自然に対するこうした乱暴な振る舞いは環境にとっては最悪との見方を示し、次のように語っている。

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「現段階では人類と自然の交流は最も重要なものであり、これは我々の行為の予測だ。つまり地球上にほんの僅かしか残されていない手付かずの自然にどういった影響を与えるか、その理解を示すものだ。

我々の熱帯センターはベトナム戦争で米国が使った化学兵器の影響を調べるために作られたもので、我々は米国がこの地域の人口や自然にどれほど大きな損害を与えたかについて、膨大な資料を集めた。

現在、さんご礁と諸島に襲いかかろうとしている被害の規模は決して小さくない。さんご礁に人工島を作る作業は、生物学的多様性で世界でも最も豊かな巨大な海域の稀有な環境体系を脅かしている。」

さんご礁と諸島はすべて最大クラスの魚の産卵場となっている。しかも産卵を行うのは小魚から大型のサメまであらゆる種類の魚だ。この水域のさんご礁がいかに重要なものであるか、その意義の高さは陸における熱帯雨林の重要度と同じだ。どちらも生態圏であまりに大きな機能を果たしている。さんご礁を破壊すれば遺伝上の栄養失調が起こり、生物学的多様性が損なわれ、莫大な数の有機体が失われる。

こんにの時点ですでに、さんご礁の諸島の12平方キロメートル以上が埋め立ての土壌を被っている。これは土を被せられたさんご礁が死滅するだけではない。それを取り巻く水域も死滅してしまう。なぜなら建設作業によって建設現場から広い範囲にわたって透明度の高い水が減り、海水の化学成分が変化しており、これが魚や海中の生き物に否定的な影響を及ぼしているからだ。

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クズネツォフ氏は地球上には進化の過程をたどる手付かずの環境体系がほとんど残されていないと指摘する。そうした体系とは人為を解さず自然が自ら作り上げていったものだ。現在、人類はそうした210種のさんご礁からなる最大級の海の環境体系を破壊しようとしている。クズネツォフ氏は科学にとってはこれはあまりにも大きな損失だと語る。

損失があるのは科学だけではない。海産物、魚の捕獲も産卵ができ、稚魚を返すことのできるさんご礁に全て完全に依存している。ベトナム、インドネシア、フィリピンなどの南シナ海の諸国、それに中国自身も世界有数の漁業国だ。これらの国の人々の摂取する食物の大半が、現在、続けられている人工島建設で大幅に縮小されていくことになる。クズネツォふ氏は、人工島の建設は数億人の食料安全保障に実際的な脅威を与えていると警告を発している。.

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