高等経済学院のアンドレイ・フェシュン氏は、「露中への一見熱烈な招待は、実は断られるのを見越してなされたものだ」と語る。
ロシアがTPPに加盟すれば、ロシアは様々な制限を受け、損失を出し、ついには米国および多国籍資本に対する依存状態が形成されてしまう、とフェシュン氏。
「TPPも、また未発効のTPIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)も、本質的に、米国がまず得をするようになっている。名目上、これらは、関税障壁を突破し、自国産品を他国で販売するという、一国単独では困難なことを可能にする、いわば全世界の商人たちをひとつの兄弟にする枠組み、ということになっている。しかし実際は、参加諸国が米国の絶対的命令に完全に従属することを迫られるシステムなのだ。TPP設立に関する文書が極秘裡に作成されたことに社会は不信感を募らせているが、それももっともなことだ」
しかし、米国も、勝利を喜ぶにはまだ早すぎる。3日、ソウルで、日中韓サミットが4年ぶりに開催され、朝鮮半島非核化問題で協力することや、FTA交渉加速について合意がなされた。中国は既にオーストラリア、ニュージーランド、チリ、ペルー、シンガポールとFTA協定を結び、同様の協定を他の国々とも結んでいる。うちの数か国にとって、中国は、最大の貿易パートナーとなっている。また、そうした合意の中には、TPPと同様、相互の関税撤廃を定めたものもある。
もうひとつ重要なのは、米国と違い、中国は、パートナー諸国に対し、商法その他の多数の法律を一元的に管理することを求めてはいない、ということである。中国の参加する貿易取引の多くが個別の企業間でなされている。こうした企業にとっては、中国の提唱するシルクロードの「ソフトな」規則の方が、米国の絶対的命令よりも好ましいのである。