露日エネルギー協力の展望について著名なロシア人専門家、モスクワ国立国際関係大学東洋学部長のドミートリイ・ストレリツォフ氏は次のように述べた。
「間違いなくいまロシアは日本にとってエネルギー部門でより重要なパートナーになっている。ロシアは日本のエネルギー市場におけるシェアを格段に拡大させた。とりわけ、ガスと石油という、炭化水素燃料で。この5-6年のあいだにロシアの立場は堅固なものへと強化され、多くの点で日本にとって掛け替えのないパートナーに成長した。このことは次の一例に十全に示されている。2007年まで、ロシアは日本に全く炭化水素燃料を供給していなかった。いかなる形態の炭化水素燃料をも。そいれが今や、ガスと石炭に関しては、ロシアのシェアは、統計によって差はあるが、8から10%になっている。日本はいま、ロシアを日本市場における資源供給者としての戦略的立場に固定し、エネルギー資源調達の多角化を図ろうとしている」
将来的にロシアのシェアはさらに増大する可能性がある、とストレリツォフ氏。
「専門家らは、15から20%にまでシェアは高まる、と言っている。何らかのリミットはあるだろう。国家安全保障の観点から、日本はある程度の上限は超すことが出来ない。しかし、一定の空間、備蓄はまだある。こうした備蓄こそが今後の日本とのエネルギー協力の展望なのだ。露日協力の発展によって日本は原子力以外のエネルギーに転換することが出来る。原発の再稼動が始まってはいるが、原子力のシェアが低まることは確実だ。そしてガスが増大し、石油は下がっていくだろう」
ストレリツォフ氏によれば、露日エネルギー協力の主要なプロジェクトは「サハリン」である。
「2009年、日本の技術・財政支援によってサハリン南部に年1000万トンの出力をもつLNG工場が建設された。既に既定の出力には達しているが、日本への供給量は増大の見込みだ」
「サハリン2」は既に稼動済みで、さらに「サハリン3」、4、5と後も目白押しである、とストレリツォフ氏。
既存のインフラを発展させることに並んで露日はさらに全く新しいプロジェクトでも協力できる。しかしそれについては次回語ることにしよう。