いま北極は、投資を必要としている。しかし、実際に北極開発が実行されるのは、2030年代以降である、と大臣。対ロ制裁のため、西側からの投資は見込めない。中国をはじめとするアジア地域から投資を呼び込むチャンスは活用しないわけにはいかない。だから、もし中国が北極に投資や技術を持ち込んでくれるなら、ロシアは歓迎する。ただ、協力は中国の投資家らとロシアの代表的石油企業の関係の枠内で進むべきだ。ドンスコイ大臣はそう述べた。
いまロシアの北極陸棚ではすでに中国の石油ガス装置が稼働している。しかし、西側の制裁の中により、現代的な採掘装置、石油・ガスの運搬手段の不足は、カバーできていない。よって、中国をロシアの北極陸棚に招くことは、中国にとって巨大なチャンスであるばかりか、強力な挑戦でもあるのである。エネルギー・財政研究所のセルゲイ・アギバロフ氏の見解を紹介しよう。
「中国はもしかしたら、資本のドナーとして、しばしばみられるように、中国の機器、中国の労働力を使うことを義務化した上での借款を行ってくるかもしれない。しかしロシアは、資本もさることながら、技術へのアクセスも求めている。ここにおいては、やはり、西側企業と共同事業体を作って、新しいプロジェクトを策定するほうが、理に適っているだろう。したがって、北極の長期的開発ということになると、西側企業との協力、インドを代表する企業をも呼び込んだ形での幅広い連携ということが不可欠になってくるだろう」
ロシア天然資源省は今年中にもロスネフチおよびガスプロムから陸棚開発に関する資格申請が入ることを期待している、とドンスコイ大臣。両社からの8つの申請は年内に政府に提出される計画だという。
いまロスネフチはすでに中国企業と北極の様々な陸棚プロジェクトについて討議を行っている。討議は5月、中国がロシアの陸棚における資源開発に名乗りを上げた直後に開始された。
中国がロシアとの協力に寄せる関心について、中国社会科学アカデミーロシア東欧研究所のジャン・イー氏は次のように述べた。
「北極における協力は、中国にとって、二つの方向性で興味深い。まず、中国のエネルギー需要を満たすという方向で。中国のエネルギー企業が北極という条件下で協力を行うことで、中国企業は成長し、さらに、実利を上げることができる。第二の方向性は、北極における協力で、陸棚にける作業のための学術・技術開発や装置の開発が刺激を受け、進歩する、というものである。これは中国のエネルギー企業にとり、新しいことだ。ロシアとの協力はこうした方面における中国のポテンシャルを高めてくれる」
ロシアは2035年に北極の陸棚における石油採掘を開始する意向。年産5000万トンを目指している。その大部分が北極で採掘される。