プーチン大統領はロシアが戦略的と捉える方向性を次のように列挙した。最優先課題は明白だ。
中国は数年の間にも、パイプラインで輸送されるガスにおいても液化天然ガスにおいてもロシア産ガスの最大の消費国になる。現在、複数の方向性についての交渉が一度に行われている。特にテヘランで「ガスOPEC」が行われた日、ガスプロムの広報部は北京で中国の石油天然気集団公司(CNPC)とペトロチャイナ社の間に極東からパイプラインで天然ガスを中国へひくプロジェクトについて協議の新ラウンドが行われたことを明らかにしている。露中間ではこの供給について9月にメモランダムが交わされている。リソースベースはサハリンのガス田となる。
現在、ガスプロム社は東ルートを通って中国へとガスを輸送するガスパイプライン「シーラ・シビーリ(シベリアの力)」の敷設を行っている。このほかパイプライン「シーラ・シビーリ2」の敷設交渉が行われている。これはアルタイ地方を通る西ルートのラインだ。
ガスプロムとロスネフチの計画では液化天然ガスの新たな生産施設を作ることが挙げられている。それらは「ウラジオストクLNG」および「極東LNG」で年間それぞれ1500万トン、1000万トンの生産ができる。まさにこのプロジェクトこそがロシアがLNG市場で本当のブレイクスルーを行うことを可能にできるはずだ。このおかげでエネルギー輸入国リストを拡大し、まず中国、インドをはじめとし、将来はパキスタンも含めることができる。ところが今日ロシアで稼動しているLNG工場はサハリンに1箇所あるだけで、その製品はすでに数年先まで契約が交わされている。内訳は80%は日本が買いしめ、あとの20%を韓国、タイ、インドネシア、シンガポールが分け合っている状態だ。
世界経済の後退から多くの国々はエネルギー資源の需要を縮小している。このことは同じようにアジアにも言えるのだが、それでもこの地域における石油ガスの輸入増加傾向は強まっている。プーチン大統領はテヘランでの声明で、こうしたことを背景にロシアはアジアの成長する経済の需要を満たしていくと語り、ロシアがそれをいかなる条件で行うかということに注意を喚起している。
テヘランのガス輸出国フォーラムでロシアは、エネルギー資源を政治的圧力ないしは経済制裁のツールのリストからはずすよう呼びかけた。プーチン大統領は、エネルギー資源のグローバルな需要を満たし、世界経済全体を確実に成長させるためにロシアはガス輸出国フォーラムのパートナーらとも、他の当事国らとも最も緊密な相互関係を行う準備があると約束している。