モスクワで芥川の作品「羅生門」をバレエ化

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モスクワのスタニスラフスキイ及びネミロヴィチ=ダンチェンコ記念音楽劇場で、11月27日、バレエ「羅生門バリアシヨン」が世界で初めて上演された。この作品は、振付家のイリーナ・ルィチャギナさんのアイデアによるもので、リブレット(台本)は芥川龍之介の小説「羅生門」及び「藪の中」、そして黒沢明監督の映画作品「羅生門」を下敷きにしている。

ルィチャギナさんは、「羅生門」のバレエ化を思い立った理由について、次のように説明している―

「芥川の作品は、心理的な推理小説として書かれています。そこでは、幾人かの登場人物が、同じ出来事について、それぞれ違った観点から語っています。まさにこの点が、私がバレエにしてみたいと思った要因です。バレエでは、バリアシオン(「変化」の意味で一人の踊りを意味する)は基本です。作品中で登場人物が、それぞれ違った解釈を語る点が、バリアシオンを思わせるのです。」

バレエ化するにあたり、リブレットと演出を担当したイリーナ・ルィチャギナさんは、このように説明した後「バレエの言葉で語られたあらすじは、若干オリジナルとは違っていますが、改作したものではありません」と指摘し、さらにインタビューに答えてくれた―

「私達には、それは日本の作品に対する我々ロシア人の視点であると思われます。あらすじへの私達の捉え方が加えられ、作り変えられています。ここで、芥川と黒沢自身が、ロシア文化に魅かれていた事を、言っておきたいと思います。私達のバレエは、ビデオコンテンツを伴っています。今のところそれは作成の段階ですが、いくつかの場面はすでにできています。ビデオではバレエアーチストをアップで見る事ができますし、観客達は、踊り手としての素晴らしい動きのみならず、どんなに彼らが、素晴らしいドラマ俳優であるかも、実感できるユニークなチャンスを手にしています。今回のプロジェクトでは、このドラマ性の拡大に期待しています。」

確かに音楽、ビデオそしてメーキャップ、衣装などすべての面で、バレエ「羅生門」は表現力溢れるものとなっているが、音楽を担当した、若手作曲家のグリゴリイ・ワルラモフさんにとっては、バレエ音楽の作曲は5度目のものだった。しかし日本をテーマにした作品は、今回が初めてとなった。

スプートニク日本記者は、ワルラモフさんにもマイクを向け、感想を聞いた―

「方向性として、私達はやはり、ロシア音楽文化の伝統にのっとりました。東洋風のモチーフを使ってスタイルを作ろうとはしませんでした。しかしそれでも、打楽器やゴングなどによって、ある程度日本色が出せていると思います。やはり日本の小説をもとに作品を作ったのですから、当然でしょう。」

バレエ「羅生門バリアシオン」は、まだようやくモスクワ音楽劇場での初演にこぎつけたばかりだ。しかし初演を前にすでに、人々の間で非常に大きな関心を呼んでいる事が明らかになった。どんなにマスコミを使って宣伝しようと、やはり舞台で演じる生きた人間の魅力に勝るものはないという事を、今回の仕事は、改めて語ってくれている。

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