トルコ政府の声明は、マルタで開かれた難民問題に関する会合で発表された。同会合の主な結果は、欧州理事会のトゥスク議長が、2015年末までに、行動を調整するためのEU・トルコサミットを招集すると約束したことだ。先に欧州諸国は、トルコに約30億ユーロの資金援助を行うと約束した。一方で欧州諸国はこのような約束をしながらも、国境を閉鎖し、難民の流入を阻止するという、たった一つの問題しか解決する意向がないと示唆することが増えている。歴史的展望基金のパーヴェル・スヴャテンコフ主任研究員は、次のように語っている‐
一方で、問題が起こっているのはEUの国境ではなく、それよりももっと遠い中東とアフリカ諸国だ。それらの国々では、1年以上にわたって戦争が続いており、難民が避難場所を探し求める原因となっている。政治学者のミハイル・シニツィン氏は、難民問題を解決するためには、政治家たちがまず自分たち、そしてその前任者たちの過ちを認めなければならないと指摘し、次のように語っている‐
「EUは、中東政策を実行する過程で犯された過ちを認めなければならない。この過ちは、公の場で認める必要がある。これらの過ちや、リビアでの過ち、そしてEUがシリアに対して間違った態度を取ったことを認めるまでは、移民の影響を根絶するためのポジティブな作業を確立することだけでなく、より深刻な問題に取り組むことも、非常に難しくなるだろう」。
一方で欧州は、脅威に直面し、苦しみを受けてからようやく反応し始めるという、これまで何度も繰り返してきた方法で行動し続けている。モスクワ国立大学国政学部のパーヴェル・タルシン教授は、その理由について、政治家には他の選択肢がないからだと指摘し、次のように語っている‐
「欧州共同体は、非常に官僚制的な機構で、数か月ないしは数年間かけて決定を承認する。官僚たちは、妥協し、全てを仕上げるために、膨大な時間を必要としている。しかし、国を統治している政治家たちにはぐずぐずしている暇はなく、彼らは反応しなければならない。例えば、フランスはテロに反応して、空母を派遣し、『IS(イスラム国)』に対する空爆を強化している。ここで矛盾が生じる。官僚は迅速に、自然発生的に、公共のために行動することができない。しかし政治家は即座に反応しなければならない。そうでなければ、選挙で選ばれないからだ」。
政治家としての自分の将来を案じる中で、政治家たちが国際政治の場で起こっている変化に気づかないことも多々ある。難民の状況は問題を増やしただけで、政治家が有権者を前に語るテーマが一つ増えただけだ。しかし資金を拠出し、約束するだけでなく、解決策を見出す力は、まだ欧州の政治家たちにはないようだ。