モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は、この件に関して次のような考察を表している。
「まず、露土関係に起こった危機の調整に日本がまさに何を持って助力できるのかという問いに答える前に指摘して起かねばならないのは、エルドアン氏はパリのサミットの場を対露関係正常化における第一歩を踏み出すために利用しなかったという点だ。エルドアン氏はロシア機破壊に対する謝罪を行なわなかった。それどころかパリでエルドアン氏はまたしても、トルコは全て正しく行動した、なぜならロシアの爆撃機はあたかもトルコの領空を侵犯したからだと繰り返した。思い起こしてほしい。ロシア宇宙軍の客観的なコントロールデーターでは、スホイ24はトルコの領空境界線を侵犯していないのに、トルコのF16によってシリアの上空で撃墜されている。
昨日、11月30日パリの記者会見でプーチン大統領が声明に表したように、トルコが国際テロリストの保養および訓練施設として使われてきた事実について、ロシアは長年にわたりトルコ側に幾度も注意を喚起してきた。その中には北カフカスでロシアに対抗して戦っているテロリストらも含まれている。ところがこのロシアの訴えには何の注意も払われなかった。しかもトルコはここ数年、シリアでアサド体制と戦うために全世界からやってくるテロリストの主たるスポンサーのひとつとなった。今、トルコがシリアで戦うテロリストに武器を供給していることを裏付ける証拠が多く溜まってしまっている。この中には化学兵器も弾薬も含まれているようだ。それだけではない。トルコはISの採掘した石油を運ぶキャラバン隊に自分の領域を通ることを許し、その輸出に参加していた。
とはいえ謝罪だけではロシアには足りない。ロシアが必要としているのはエルドアンが中東だけでない、ユーラシア全体にも及ぶ平和と安定を脅威に陥れる悪い構想を退けることだ。まさにトルコが欧州に難民の波を差し向けたのであり、そうした難民の中には今、欧州の特務機関が発見して戦慄を覚えているように、テロリストとして養成され、戦闘経験を持つ人間が何千人も紛れ込んでいた。だからこそ独仏では、シリアで戦うテロリストに対抗するためにロシアと緊密な協力が必要だという声がますます声高に語られるようになってきている。あの米国までもが今やトルコに対し、テロリスト、兵器、麻薬、石油、生きた奴隷や臓器のトランジットを封じるため、シリアとの国境を閉鎖するよう要請した。
これが、日本が露土関係の正常化を助けるために何が出来るかという回答だ。日本は独仏米に続いてエルドアン氏にテロリストと手を組み、カリフ制やらオスマン帝国といった自分の空想を実現する試みが死や破壊を約束するものであるから、文明世界には絶対に受け入れられないものであることと分からせることができる。