安倍首相は日本の北極に関する基本戦略として、日本は北極に関する世界のプロセスにおいて主導的役割を演じていく意向だ、と述べた。地球温暖化で極地の氷が融け、国際社会は新たな課題に直面しており、それは日本の国益にも深くかかわるのだという。
「一番簡単で、中立的な答えはこうだ。北極はたしかに有用資源に富んでいる。しかし日本が何より惹きつけられているのは、北極航路だ。これは欧州の消費者に日本の製品を届ける時間を大幅に短縮するものだ。スエズ運河を通るより40%も早く両地域を結ぶというのだ。しかも、北極航路の営業はほぼ通年である。北極で重要なプレイヤーとなるには、日本は何をしたらよいか?一人では何もできない。日本に何らかの経験があるのか?答えはほぼ常にノーだ。よって、安倍氏の発言は、なかなかに大胆なのだ。しかし日本と米国のタッグとなると、事情は全く違ってくる」
「日本はおそらく、今後も米国の忠実な同盟国として動くだろう。北極でもしかりだ。少なくとも中国との対立において、米国の支援が見込めるように。ところで北極は、ロシアと米国の国益がぶつかる、非常に深刻な戦場となるかもしれない。日本は、地理的観点からは、この戦場においては全く中間的な国だ。そのため、日本政府による、北極における国益をめぐる声明は、きわめて興味深い。なんのために?日本はこのケースにおいて、世界のあらゆる場所に国益を見る米国の例に倣っているのだろうか。しかしおそらくは、日本が今なにより恐れている、米国が中国との対立において日本を見捨てるということ、それを危惧して、米国を支持しているだけなのだろう」
専門家らによれば、北極をめぐるグローバル規模の戦いは、非常に深刻なものとなり得る。環北極諸国が策定している北極開発計画、北極への排他的経済水域設置計画の中に、それはすでに明らかに見て取れる。