一方韓国のマスコミは、彼を容疑者とする根拠が、爆破されたトイレで見つかったタバコから検出されたDNAと、この人物のDNAが一致している点だけだと指摘し、それが逮捕の真の証拠になり得るのかどうか疑問を呈している。この人物は、これまで反日活動の危険分子のリストには入っていなかった。
スプートニク記者のインタビューに、アスモロフ氏は、次のように答えた-
「こうした行動は、すでに定期的に起こってきた。韓国市民キム・ギジョンによる襲撃事件だ。彼は、駐韓米国大使を襲い、傷を負わせた。その少し前、日本大使も攻撃している。それは、日本が領有権を主張しているトクト(日本名;竹島)をめぐる状況の先鋭化を背景に起きた。キムは、日本大使にコンクリートの塊を投げつけケガをさせようとした。その際、通訳にケガを負わせている。しかし韓国で彼は、精神異常だとの主張が活発になされ、テロを企てた罪ではなく、殺人未遂の罪のみに問われた。このようにして韓国社会では、この事件は、一般の日本人に対する憎しみから起こされたものではない、普通の韓国人には日本人排斥のいかなる気持ちもないかのような見方が作られた。
そうした事から、韓国における反日主義は、その極端な形からして、現在ポスト・ソビエト空間に存在する民族主義を思い出させる。そこでは、すべて悪いのはソ連でありロシアという事になる。韓国においても、現代のあらゆる問題は、日本による植民地支配の悪しき遺産のせいにされている。現在多くのことは、今回の事件をマスコミがどう伝えるかどうかにかかって来るだろう。今回の事件には、いくつかの解釈があるが、韓国のマスコミは押しなべて、日本のナショナリスト達の挑発行為だとするかもしれない。しかし、他のバリエーション、犯人は精神異常者であるとする可能性もある。」
『残念ながら、現代世界においてテロリズムは、政治的目的を達成する手段としてありふれたものになってしまった。それゆえ、韓国や中国、そして日本による植民地支配や占領によって被害を受けた他のアジア諸国の中に、必ずしも常に精神的バランスが取れているわけではない人達が、今回のようなテロを起こそうと姿を現すことも、時にあるだろう。テロを起こすなら、靖国神社は象徴的だ。なぜなら、日本人が第二次世界大戦中の自分達の犯罪に対しその罪を認めない事の象徴のような場所は、日本にはここを置いて他にないからだ。
しかし、拘束された韓国市民が犯人かどうか、それを示すのは、取り調べの結果だけだ。しかしすでに今、はっきり予想される事がある。それは、つい先日、長い休止を経て、やっと修復が始まったかのように見えた日韓関係の悪化である。
まさにそれゆえに、今回の事件の調査と解明に必要なのは、感情ではなく、具体的な証拠であると申し上げたい。それらがあれば、日韓の政治的関係の悪化を避ける助けになる違いない。」