テロとの戦いにおいてロシアは今日、中心的な役割を果たしている。防衛省防衛研究所・地域研究部長の兵頭慎治氏は、テロとの戦いにおいて日本とロシアが協力することは大きな意味があると指摘し、次のように述べている。
兵頭氏「ロシア自身はチェチェンのイスラム系過激派勢力によるテロ事件に、今まで何度も苦労してきました。他方で日本は、イスラム過激派勢力によるそこまで大きなテロ事件には直面していませんが、2020年の東京五輪を控え、テロ対策をこれから強化しようとしています。
ロシアも、アメリカ率いる欧米有志連合も、それぞれシリアで空爆等の軍事行動を取っていますが、日本自身が軍事行動に直接参加することはできません。しかし、このテロに関する情報の交換・共有は日本にとっても重要です。その中でも多くのテロに遭遇してきたロシアとの間でテロ情報を共有することは、非常に大きな意味があると思います。
実は日本の海上自衛隊とロシア海軍は、テロ及び海賊対策の共同訓練を続けています。これは2013年11月の日露2プラス2で合意された事項です。万が一日本周辺でテロ事件が起きたときに備え、この対テロ共同訓練を更に強化して、地理的に近いロシアと連携して対応する訓練を事前に行っておくことは重要だと思います。テロというとヨーロッパや中東に関心が集まっていますが、将来的には日本も含めた東アジアでテロが発生する可能性もありますから、テロ問題に関する経験や情報を豊富にもつロシアと協力を深めていくことは、日本にとっても大きな意義があると考えます。」