メドヴェージェフ首相は12月15日、中国の鄭州市(ていしゅうし)における上海協力機構の政府首相評議会会議でロシア大統領の発案を具体化し、相互投資の保護、通関業務のバリア廃止、商品の要求条項の標準化から開始するよう提案した。これは最低でも18カ国を網羅する空間での協力メカニズムの形成を指している。これらの諸国は合わせて平価での購買能力で世界経済のほぼ3分の1を占めている。このリストとポテンシャルは非常に近い将来、インド、パキスタンの上海協力機構加盟により実際的にアップする。上海協力機構には将来、イランも加わる。
ASEANと上海協力機構の間にはパートナー関係は既に存在している。これはユーラシア経済共同体の核であるロシアとASEANの間にある関係と同様だ。ユーラシア経済共同体と上海協力機構の接点にこのパートナーシップはロシアと中国の間の緊密な関係によって強固なものとなる。ひとつのありうる方向性として、メドヴェージェフ首相は演説のなかで交通運輸インフラの共同開発を挙げ、これを中国の李首相が支持し、上海協力機構諸国に対してユーラシア大陸に統一の交通運輸網を作るよう呼びかけた。この発案は、中国とASEANがそれぞれの国の車道、鉄道を連結させるよう合同で行う尽力を補足するものとなっている。
上海協力機構の場でメドヴェージェフ首相はすでに出来上がっている国際貿易関係の構造を揺り動かそうとする試みは危険と指摘した。首相は、ロシアは太平洋パートナーシップのようなパートナーらの敵ではないとはっきり強調した。
モスクワ国際関係大学の専門家、ヴィクトル・スムスキー氏は、こうなった場合、国際貿易はどうなるのか、統一された普遍的な調整規則が存在しているWTOはどういうことになるのかについて、ロシアは理解したがっているとして、次のように語っている。
「TPPとの場合、米国はこのシステムが自国の下に編成され、国際経済における米国のリーダー的立場を堅持するためのものであることを特に隠そうともしなかった。ということはつまり、TPPは他の全ての諸国の従属的立場を維持することを目的としている。だがこうした不平等は、本当の意味で地域的ないしは全世界的なシステムであろうとする中にはありえない。こうした中ではあらゆるものの利益が考慮されねばならないからだ。」