元駐日ロシア大使で先日日本に滞在したばかりのアレクンサンドル・パノフ氏は、日本人はわななく期待と不安からロシアについて考えざるを得なくなっているとの考えを示し、次のように語っている。
2月あたりにロシア人企業家らの一大代表団がマントゥロフ産業貿易相と共に日本へとやってくるという情報が入ってきた。つまり日本人にはロシアと経済関係を発展させようという関心があるということだ。だが政治対話を維持しようという意図もある。
1月初旬に自民党の高村副総裁がやってくる。高村氏もロシアとの関係拡大を支持する議員グループを率いる存在だ。高村氏は議員のラインでの関係活発化を話し合う。私も数人の議員たちと会うことが叶ったが、みなが今、明らかに不足している政治対話の活発化への関心を強調していた。
「スプートニク」:日本人の抱く恐怖感はどこからきているのか? 日本は中国とすばらしい経済関係を築いているではないか?
パノフ氏:「ロシアだってトルコとすばらしい経済関係を築いている。だがこうしたすばらしい関係だってラディカルな事件が1つか2つ起きただけで瞬時に地獄へと葬り去られてしまうものだ。ところが日本と中国の関係は政治面では一点の曇りもないという状態からは程遠い。領土問題もあり、地域での影響力を巡る闘争もある。
安倍氏がインドへ向かったとたん、この訪問は中国に対抗し、釣り合いを保つためのものだというコメントが出された。インドとは高速鉄道の建設をはじめとする大型契約が結ばれた。こうした鉄道の建設は中国も求めていたものだった。ところが日本はより有利な条件を出し、譲歩まで行った。日中間では明らかにライバル競争が展開されている。
こうした不安定な状況や地域における首位争いを背景に、様々な矛盾を考慮すれば、中国もそうだが、日本がロシアを自分の側においておきたいという意欲は極自然なことに思える。
それにロシアにとってはこうしたパワーバランスの役割、日本とも中国とも友好関係を持っている国としての役割は経済分野を含め、ロシア外交の有利な点を与えるものだ。日本の立場にはロシアの路線で具体的で明らかな動きは現時点では見られないが、それでも動きはある。徐々にポジティブなものは蓄えられている。
もちろん、来年どう状況が発展するか、予測は難しい。多くは対米関係、対欧州関係、中東における関係がどう発展するかにかかっている。だが日本人が対露関係を西側が制限する制裁の影響から抜け出させようと必死な様子はすでにはっきりと見て取れる。このため、来年、露日関係により多くのポジティブなことが現れるだろうと思われる。」