最終決定は今年6月。これで中国製品の91%が韓国で輸入関税を免れることになった。韓国側の数字は92%だ。合意は電子機器、化学製品、鉱山、製鉄業、機会建設などに及ぶものとなっている。
韓国のエコノミストらは、商品市場への相互アクセスの拡大により、両国貿易高はおよそ4割増大する、と見ている。これが、グローバル経済が停滞し、世界金融市場のボラティリティが高い中で、両国経済に強力な刺激を与える。ハイテク製品の韓国からの輸入で中国は経済改革を成功裏に進め、中国経済をイノベーション軌道に乗せることが可能になる。
専門家によれば、中韓は日本を含めた自由貿易圏創設交渉がほぼ座礁している中で、貿易関係をかつてなく自由化させることが出来た。中国と日本、韓国と日本の、それぞれ魚釣島および独島をめぐる領土問題、また第二次世界大戦中の侵略行為について深い謝罪をしたがらない日本政府の姿勢というものが、三カ国FTAの創設にとっての大きな障害となっている。
三カ国交渉をデッドポイントから動かすのに、自由貿易圏創設によって経済に追加的な刺激を与える必要性ということが決定的な役割を果たすかもしれない。そう語るのは東洋学研究所の専門家、エルゲナ・モロジャコワ氏だ。
「もとにあるのはもちろん経済関係だ。それから逃れ得る国は一つもない。中国、韓国、日本の経済は客観的に強く結びついている。最後には経済が勝を占めるだろう。三カ国関係は良くなったり悪くなったりを繰り返している。しかし、その足元には強力な経済基盤と、自らの世界的競争力を高めることへの需要というものが横たわっている」
中日韓FTA交渉再開に向けた新たな政治的シグナルは11月1日、ソウルで発せられた。4年ぶりに中国の李首相、韓国のパク大統領、日本の安倍首相が会談したのだ。しかし、三者がどれだけ早く、またどれだけ効果的にこのシグナルを具体的合意に変換できるかは、どの専門家もあえて予測の挙に出ない。