米国には平和調停者の北朝鮮訪問など必要ない?

© REUTERS / Mariana Bazo潘基文
潘基文 - Sputnik 日本
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今年国際社会が固唾を呑んで見守ったことのひとつが、現在も議論の俎上に上っていることだが、国連のパン・ギムン事務総長が北朝鮮を訪問するかどうか、ということだった。

ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究室のレクサンドル・ジェビン室長によれば、パン・ギムン氏は、自身が朝鮮半島の平和調停者となろうとしているからこそ、北朝鮮訪問に関心を寄せているのだ。

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「長い国連事務総長在任中、パン氏は一度も北朝鮮を訪問しなかった。しかし北朝鮮は、現代世界で最も長く続いている紛争・南北朝鮮間の政治・軍事対立の当事者だ。このことは間違いなく、パン氏の、世界の有力な平和調停者としてのイメージを損ねている。また、自身の今後の政治的キャリア、次期韓国大統領選への立候補という点でも、パン氏は訪問に関心を持っている。もっとも、当選の見込みはそう高くない。韓国の政界は閉鎖的だ。独自の関係性、派閥がある。長期間国外にあり、政界とのつながりを失って、ある種パン氏は、余所者になってしまった」

パン氏の訪朝で、西側と平壌の対話再開が進むかと思われた。しかし問題は、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議の一部参加者が、北朝鮮とのあらゆるコンタクトに反対の立場であるということだ、とジェビン氏。

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「米国はそうした立場をとっている。オバマ大統領政権は2期を通じて戦略的忍耐と称する対朝政策をとっている。北朝鮮を屈服させ、一方的に武装解除させ、引いては現体制を解体させるための、政治的、経済的、法的措置のことだ。しかしこの政策は今のところ功を奏していない。だから米国は、同盟国全員のすそをつかんでいる。そして、北朝鮮の現政権と協力しようとするあらゆる小さな試みに対して、そのつかんだすそを引っ張るのである。もう何年も、そうした政策が続いている。米国はパン氏がこの方面でいかなる成果を収めることも望んではいない。オバマ政権の政策が失敗したと思われないように、である。こうしたわけで、韓国をはじめ、米国の同盟国は皆、朝鮮問題において自由に振舞うことができないのである。欧州諸国も例外ではない。彼らは長年、米国は人権問題に関する対話さえ妨害している、との苦情を上げている」

パン氏が既に南北調停者の役割を担うチャンスを失っているという可能性もある。もし南北が政治的な意思と、妥協への願いを持ったなら、仲介者などそもそも不要なのである。そして、それはこの8月、示された。

南が反北プロパガンダを再開したことによる関係悪化を受けて、南北が自発的に交渉のテーブルを設けたのである。そこで、相互譲歩と、ハイレベル交渉の準備開始が約束された。今のところ結果は上がっていないが、試みが再開する期待もある。

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