インタビューに応じたのはシリア出身の数人の男性。インタビュアーを務めたのはテロ問題の専門家のアンナ・スペクハルド氏とアフメト・S・ヤイラ氏。逃亡者らはシリアとトルコの国境で発見された。
インタビューの抜粋は「テロ調査イニシアチブ」協会の出す雑誌「パースペクティブ・オン・テロリズム」に掲載された。
これらの人々が「ダーイシュ」に入りながら、そこから逃げ出すことを決めた主な理由は「組織があまりに残酷でそこでの生活はプロパガンダにあるような『宗教的楽園』には程遠い」ことに集約される。
ふたりは「ダーイシュ」の根底をなす残酷さを示す具体例を列挙した。
こうした行為によって「ダーイシュ」武装戦闘員らは住民らを恐怖で縛りつけ、他の武装組織をも怖がらせていた。逃亡者の話では、「ダーイシュ」は2年前、「自由シリア軍」との戦いのためにラッカ市で児童の自爆犯を利用した。
もう1人のシリア人逃亡者、アブ・シュイエイ氏は失敗を犯した戦闘員に対して、どんな行為がとられていたかを話した。
「もし誰かが何かを失敗した場合、あいつらは水責めにしていた。また誰か気に入らないやつがいると、頭を切り落としていた。」
逃亡者らはインタビューに対し、「ダーイシュ」は虚言を行うとし、その発言は現実の状況とは合致していないと断言している。
「2014年、ダーイシュは嘘つきだと私は悟った。たとえば女性を強姦した男がいたが、これについて男は何の咎めも受けなかった。」
ふたりの逃亡者の話では「ダーイシュ」は今、シリアでの新たな戦闘員募集に苦労している。前は、よりよい生活を求めて加わる者たちもいたが、今はこの「幻想」は貧困や、「ダーイシュ」の掌握地の住民が直面した他の不幸な理由により崩壊した。
「今、組織に参加している少数の者は他にすることがないという理由だけでそこに加わっている。『ダーイシュ』戦闘員は働く義務はない。」
逃亡者のひとりは、他の者たちはトルコ、リビアに潜伏するか、海を越えて出国するほうを選んでいると語っている。
専門家らはシリア人の数人にしかインタビューが出来なかったため、こうした資料の信憑性を確証できないとしながらも、このインタビュー結果も他の調査結果と同様、「ダーイシュ」の弱点を明らかにしていると語っている。その弱点とは、「ダーイシュ」は最終的には掌握した領域の地元民の支持を集める政権を打ち立てられなかったということだ。