岸田外相によれば、日本政府は慰安婦問題について、「責任を痛感」している。安倍首相は、被害者に「心からのお詫び」をした。また日本政府は性的奴隷となった女性らを支援する基金を韓国に創設するために10億円を拠出する。一方の韓国政府は2011年に在ソウル日本大使館前に設置された慰安婦記念像を撤去する可能性があるという。
ロシアの東洋学者、ドミートリイ・ストレリツォフ氏によれば、問題解決の兆しはここ数か月、肌に感じられていた。2014年初頭には安倍首相の就任以来凍結されていた両国の政治コンタクトが再開していたからだ。
今回見いだされた慰安婦問題の解決の形式は、韓国側をも満足させるはずだ、とストレリツォフ氏。
「10億円規模の特別基金の創設には、日本の国費が投じられる。これは韓国にとっては極めて重要なことだ。というのも、これまで日本側は、政府の参加なき人道手段による問題解決を図ってきた。過去の朝鮮植民地化に関する問題は、国家レベルでは、1965年の外交関係再開宣言の時点で解決がなされている、という立場からだ。それが今回、日本は、ほぼ初めて、この立場を去り、国費から費用を拠出することを決めたのだ」
しかし、この措置は、日本国内では支持を得られなそうだ。将来的に慰安婦問題の解決は、安倍首相自身にとっての大いなる不快事となる。あるいは、首相の支持率にも響くかもしれない。ストレリツォフ氏はそう語る。
「いま日本の有権者の間には、ナショナリスティックな雰囲気がある。強硬路線外交への支持者がどんどん増えているのだ。今回の問題解決への最初のリアクションはまだ明らかになっていないが、現時点でもう、近い将来安倍首相が国益を裏切ったとして非難されるとの予想は可能である。何しろこの数年、慰安婦問題は強度に政治化されていたから。将来的に、野党や、与党内の彼の政敵らが、慰安婦問題の解決は日本の尊厳を傷つけることだった、と安倍首相を糾弾することになるかも知れない。しかしおそらく安倍首相は、不評を買いそうな一歩ではあるが、他ならぬ国益の観点から、妥協せざるを得ない時だと自覚したのだろう。何しろ韓国は、日本の隣国であり、重要なパートナーである。日本としては、韓国を<漂流>させ、中国の味方にしてしまうわけにはいかない。経済的な利益というものも一役買った。たとえば、北東アジアに韓国と日本の参加する経済統合構造を創らねばならないという、必要性。こうした理由から、どんなに国内的に不評であっても、安倍首相の決定は理に適い、自然なものであると言える」
安倍首相も、今回の政府の決定は、やがては国内でも高く評価されるようになるだろう、と願っているのだろう。