(以下、ロシア語でのインタビューを和訳)
Q:現在の露日関係をどう評価されますか?
上月大使:「日本とロシアは隣国として重要なパートナーであり、両国には東アジア地域の安定と繁栄に対して大きな責任がかかっています。最近、政治の分野でも経済の分野でも関係は発展してきています。
政治についていうと、2013年4月、安倍首相が日本の首相として10年ぶりに公式的にロシアを訪問した際、私は外務省でこれを担当する課を率いていたため、首相に同行しました。この後、安倍首相はさらに9回プーチン大統領と会っています。今年後半だけをとっても両首脳は、緊密かつ友好的な雰囲気のなかで、国連総会のフィールドでもG20サミットでも広範な問題について胸襟を開いた討論を行ってきました。
経済分野では日本からの輸出で中心を占めているのは相変わらず自動車などの製品で、ロシアからは豊富なエネルギー資源と相互に補完する関係が存在しています。対外経済商品流通の低下の傾向が今年が見られますが、ロシアの全体の対外経済指標の低下に比べれば、この傾向は全体としてソフトな性格のもので、このほかロシアでは相変わらず日本車が非常に人気を博しており、市場で独自のポジションを占めています。
互恵的関係の拡大は経済、安全保障、文化交流などの面で行われており、日本とロシアの間には二国間の関心、利益を基盤としています。駐露日本大使として私は様々なレベルにおける政治対話をより活発化させ、露日関係の全面的発展を促したいと思っています。」
Q:露日関係の改善のためには何が必要だとお考えですか?
上月大使:両国を取り巻く対外政治状況は簡単なものではありませんが、同時に両国が多様なポテンシャルに働きかけ、対話という方法で露日関係を互恵的な土台で発展させることが重要です。露日関係の発展のためには政治レベルでアクティブに続けられている対話の流れが堅く、強固なものとなることが必要です。両国のリーダー、外相を始めとし、日露間の政治対話を強化するため、私は大使として全力を傾けていきます。
これと同時に広範な問題での対話を推し進めながら、安全、経済、文化分野での協力を深めることが必要と思っています。大使として2016年、日本の現代文化フェスティバルのJ-festや日本文化フェスティバル「日本の秋」など多様なイベントを開催しつつ、エネルギッシュに科学教育、スポーツ分野での交流に取り組んでいきたいと思っています。
Q:今までロシアには何度赴任されておられますか?
上月大使:「今回のモスクワ赴任は4回めです。それまでは2008年から2010年の間、間隔を置いてモスクワに赴任していますので、モスクワには5年半いたことになります。私の外交官としてのキャリアは全てロシアと緊密に結びついています。ですから出張まで数えますと、もうどれだけの期間、モスクワにいたのかはわかりません。」
Q:東シベリア、極東、先行発展領域(TOR)開発計画では何が日本、また日本企業にとって最大の関心となると思われますか?
上月大使:「TORでは農業、温室栽培分野ですでに協力が進められており、こうした発展の大きなポテンシャルがあります。ですが露日協力はこれにとどまるものではなく、広い分野のスペクトルで可能です。
従来のエネルギー分野に加えて、内容のある対話、ロシア人の生活と密接に結びついた節電、都市環境、医療などの分野での協力は続けられています。
この先も広い分野のスペクトルにおいて両国の隠されたポテンシャルを明るみにしてくれるような協力を拡大せねばなりません。私は大使として、日本の各企業の必要に答えながら、全力を傾けロシアにおける日本企業の活動と発展を支援し、露日の経済関係の拡大に寄与していきたいと思います。」