恒例によって、議題には、政治、経済、気候変動、エネルギー資源その他のテーマが含まれる。これに日本は、現代世界の最重要問題であり日本の国内政治の主要な方向性とも結びつくと考えられるテーマをさらに3つ付け加える。つまり、世界に共同のインフラを構築すること、健康および医療援助へのアクセスの問題、女性の社会的役割と地位の向上の問題。
最高レベルで必ず討議されるのは4つのテーマ、世界経済と国際貿易、政治と外交、気候変動とエネルギー資源、そして成長だ。ダーイシュ(IS、イスラム国)を淵源とするテロの脅威への取り組み、難民問題、ウクライナ危機も「政治と外交」部門で討議される。日本はこれに加え、東および南シナ海における中国の活動も取り上げる。中国の活動は、既存の領土紛争との関連で、日本だけでなく地域の他の国々からも危惧を呼んでいる。
時事通信によれば、日中関係はいま改善を見ている。また、第二次世界大戦中の事象に関する日韓間の長年の懸案についても、一定の解決が近づいている。日本は現時点で既に近隣諸国との関係を大幅に改善できているのである。しかし、この方面では、なお課題も多い。安倍首相はこうした問題をよい方向へ解決することを見込んでおり、それで支持率を高め、夏の選挙で有権者の信任を勝ち得ようと考えている、と時事通信。
北朝鮮が先日実施した、いわゆる「水爆」実験や、中東におけるグローバルな紛争についても討議がなされるだろう。一方で、サミット議長としての安倍首相の役割は軽いものではない。というのも、中東諸国との日本の関係は、米国やEUのそれに比べて、深くない。これに岸田外相は一定の憂慮を抱いている。外相は述べている。一定の努力を払ってサミットの準備を行わねば、高いレベルのサミットにはならない、と。シリアについては、安倍首相は、ロシアのプーチン大統領との協力に大きな意義を置いている。ただし、プーチン大統領はサミットに参加しない。しかし安倍首相は、クリル諸島関連の交渉を含め、プーチン大統領との対話継続を期待している。こうしたことから、サミット前に安倍首相がロシアを訪れる可能性も、専門家の間で話されている。
昨年末、福田康夫元首相は、日経新聞のインタビューで、G7は現在の形態では、現代の諸々の課題に完全な形で対応できず、すべての国々が直面する問題を解決できない、との意見を表明した。グローバルな課題には中国とロシアとともに対応することが必要なのは明らかだ、と元首相。これをたとえて、「ロシアと中国なきG7サミットはワサビのない寿司も同然」と述べた。