「スプートニク」:対イラン制裁解除後、中国にとって最優先の投資先となるイランの経済セクターは?
アジジ氏:「中国の習国家主席のイラン訪問が重要な意味を持ちうるのは、イランが新たな時期にさしかかっているからだ。イランを注視している国は多々あるが、中国はそうした国に負けない優位性がある。それは中国が過去数十年、イランとのパートナーとの相互理解で一定して高いレベルを維持してきたことに条件づけられている。こうした高い相互理解レベルは対イラン制裁発動前も、発動後も続いていた。特筆すべきなのは銀行セクターだ。今や制裁は解除され、イランにも国際銀行間通信協会(SWIFTシステム)へのアクセス権が与えられている。この他にも例えば、イランのインフラ開発に関連したプロジェクトは中国にとっては興味の高い投資先になるはずだ。それに相互協力の鍵となる分野にはエネルギーもある。習国家主席の中国訪問でエネルギー分野の協力が話し合われることは間違いない。中国にはこの段階で自国経済の安定を維持し、エネルギー需要を満たすことが重要だ。一方のイランはこの方向性ではお得意先だ。しかも中国は昔からイランのエネルギー資源を買い付けてきたわけだし、このパートナーシップはさらに拡大し、より実りの大きく、互恵的なものとなりうる。」
「スプートニク」:中国はイランとサウジアラビアの和解の仲介役を務める構えだろうか?
アジジ氏:「習国家主席が中東歴訪でまずサウジアラビアを訪れ、それからイランへ行くというのはちゃんとした意味がある。中国は強国として一連の問題解決に重要な役割を演じうる。サウジとイランの間が危機的となった瞬間から数カ国がその解決に仲介役となる意向を表した。だがそうした諸国の仲介役はある理由から、どちらの側にも受け入れられるものではなかった。ところが中国との関係は別の状況だ。中国と中東諸国との関係は完全に経済貿易関係に限定されたものであり、なんらかの政治同盟に絡んだものではない。ビジネスが最もものをいう。このため中国は自国の権威と人も羨む経済的地位を利用し、イランとサウジにとっての諍いで信頼できる中立的な仲介役となりうるのだ。」