TPP合意がGDP成長率に及ぼす影響について、調査者らはより現実性のあるモデルを採用した。これにはTPPによって避けることのできない雇用削減が考慮されている。調査の結果は慰めようのないものとなった。
日米のGDP成長率は2015年から2015年の間、それぞれ0.54%、0.12%落ち込み、カナダは最低の0.28%の伸びにとどまった。最も高い成長率を望めそうなのはチリとペルー(2.84%)で、東南アジア諸国(ブルネイ・マレーシア、シンガポール、ベトナム)のそれは2.18%にとどまる。これだけではない。米国は44万8千人が失業し、メキシコは7万8千人、日本も7万4千人、カナダも5万8千人が路頭に迷う。これに加えて、TPPはこれらの諸国に大きな経済的不平等をもたらす。なぜなら競争が激化し、それによって資本を集中させ、賃金を節約し、常に支出カットを余儀なくされるからだ。TPP加盟国全体ではなんと77万1千人の労働者が職を失うことになる。
ところがタフツ大学の調査者らは、こうした損害もTPPに加盟していない諸国が蒙るものとは比較にならないと指摘する。TPPという船に乗っていない先進国、つまり欧州だが、欧州はマイナス3.77%のGDP成長率と87万9千人の失業者という否定的効果を蒙り、またTPPに加盟していない発展途上国(中国、インドという巨大国をも含め)もGDPはマイナス5.24%、445万人の失業者が出てしまう。どうやらまさに、急成長するライバル国にこれほど大きな打撃を与えるために米国は自分の連合国らにもTPP合意がもたらす、こうした「小さな犠牲」を払うよう強要しているらしい。
タフツ大学の調査者が指摘するように、生産をより利益率の高い輸出にしむけることで利益を最大化しようと常に努力し、給与を終始節約し続けた場合、これは長期的には生産性を下げ、国内市場を弱体化させてしまう。