日本は、北朝鮮と台湾と始めたゲームの危険性を理解していない

© AP Photo / Shuji Kajiyama安倍首相
安倍首相 - Sputnik 日本
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日本は最近、北朝鮮と台湾に関する重要な声明をいくつか発表した。もしこれらの声明が善意に駆られて表されたものだとしても、地域の緊張を高め、さらには地域の不安定化を助長する恐れがあるとの疑いが生じる。

モスクワ国立国際関係大学国際研究所主任研究員のアンドレイ・イワノフ氏の私見をご紹介する。

安倍首相とオバマ政権は、北朝鮮は地域の安全保障上の重要な脅威であるとし、国際社会に断固とした対応を取るよう呼びかけた。またその前日、日本は北朝鮮とのハイレベル対話を望まないとする声明を表した。また菅官房長官は、台湾総統選で蔡英文(ツァイ・インウェン)主席が勝利したことに祝意を表し、「地域の安定と繁栄」のためとして、事実上、台湾に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を呼びかけた。

日本は米国の忠実な同盟国であるだけでなく、ソ連時代には「米外交政策の方針に従っている」と言われたジュニアパートナーでもあるものの、アジアに独自の関心も持っている。日本が、朝鮮半島の緊張緩和、中国との関係改善、また台湾との協力から利益を得ることに関心を持っていることは明らかだ。一方で、先ほど触れた安倍首相と菅官房長官の声明は、日本の主な政治家たちが、日本独自の利益よりも、米国の利益を優先しているのではないかと考えさせる。

拓殖大学大学院特任教授の武貞秀士氏 - Sputnik 日本
北朝鮮問題でロシアの協力を仰ぐにはどうすればよいか
例えば米国は、ずいぶん前から、経済的、さらには軍事的手段など、あらゆる手段を用いて北朝鮮を排除するのを夢見ており、北朝鮮とのハイレベル対話を拒否している。そのため2002年、当時、風変わりで独立した首相だった小泉純一郎氏は、北朝鮮を訪問するという真に勇敢な行動に出たのだ。小泉氏は北朝鮮で金正日総書記と会談し、北朝鮮との関係正常化に向けた重大な一歩を踏んだ。しかし残念ながらこのプロセスは、日本の人々にとって実際に重要である北朝鮮による日本人拉致問題の解決に、日本人があまりにも期待しすぎたことから、頓挫した。また米国側が安全を保障しなくとも、北朝鮮が人道支援と引き換えに核開発を放棄するのではないかという、米国の不当な期待は、北朝鮮を核保有国にしてしまった。そして米国は今、北朝鮮を制裁で締め付けようとしている。日本は米国のこのような動きを事実上支持している。もしさらに中国も支持するようなことになれば、状況は悪化する恐れがある。一方で、もし中国が支持しない場合、日本は北朝鮮だけでなく、中国とも問題を抱えることになるだろう。特に、もし今後も台湾の新総統にTPP参加を吹き込んだ場合など、そのような事態に陥る恐れがある。なおTPPに参加する利点は、まだ明らかではない。特に国土が非常に小さく、加えて中国本土と非常に緊密な経済関係で結ばれている台湾にとっては、まだ分からない。TPP参加国の議会で、TPPが批准されるかも不明だ。TPPに招かれたものの、参加条件を協議する機会を奪われた中国が、TPPに対してどのような立場を取るかも分からない。そのため、菅官房長官による台湾へのTPP参加の呼びかけは、中国と台湾の間にくさびを打ち込むことを計算した、露骨な挑発のようにも思われる。もし中国が最終的に自らTPPへの参加を決めたとしても、中国は日本のこのような声明や行動を、まさに挑発として受け止めるだろう。

つまり日本は、台湾と非常に危険なゲームを始めつつあるということだ。このゲームは、北朝鮮を滅ぼそうとすることと同じであり、これが「地域の安定と繁栄」に寄与することはないだろう。

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