ビロル事務局長は、スイス・ダヴォスでの世界経済フォーラムで演説し、次のように述べた-
「2015年、稼動した新しい発電所全体の半分は、再生可能エネルギー源によるもので、残りの半分が、ガスや石炭、石油そして原子力によるものだった。再生可能エネルギーは、もうロマンチックな夢物語ではない。今や歴史の主流と言えるものだ。ここで注目すべき事は、そうした方向性での発展が、主に、予想されていたようなEUや米国ではなく、中国やインド、ブラジルなど新興国で顕著に見られる点だ。おまけに、つい最近まで再生可能エネルギー源と言えば、水力発電が支配的だったが、今やそれは、太陽熱や風力を意味するものとなった。これは一体何を意味するか? 一言で言えば、これまでの時代が終わりを迎えているのだ。現在我々は、いかに再生可能エネルギー源をエネルギーシステムに統合すべきかという、挑戦に直面している。今後50年の間に稼働する発電所の三分の二以上は、再生可能エネルギーをもとにしたものになるはずだ。しかし化石燃料も、十分積極的に、まだ長い間利用されるだろう。」
「現在世界では、72の原子力発電所が建設されているが、そのうち40%が中国でのことだ。まもなく中国は、日本やフランス、その他の国に対し競争力を持つ、原子力テクノロジーの輸出国になるだろう。なぜならコストが安く済むからだ。中国が原発を多く建設すればするほど、コストは低くて済む。」
2015年12月の段階で、中国の14の原発では、31基の産業用原子炉が稼働している。中国における原子力エネルギーの活発な発展は、非常に多くの火力発電所を利用していることから生じる、環境汚染という好ましくない状況によって拍車がかかっている。 石炭を使った火力発電所の近代化、そして同時に、風力、太陽熱、さらには原子力発電の拡大は、中国の工業地帯における大気汚染問題解決のために不可欠である。 中国は、2020年末までに原子炉の数を88に、2030年までには110まで増やし、世界最大の原子力エネルギー利用国の一つになる考えだ。
今日世界には、使用可能な440基の原子炉がある。最も多いのが米国で99、二番目がフランスの58、三番目は日本の43だ。ロシアでは、10の原発が稼働中で、34の原子炉が働いている。それらのおかげで、毎年2億1千万トンもの炭酸ガスを大気中に放出しなくて済む。СО2の排出量で、ロシアは世界のワースト5に入っているが、その量は、上位の中国、米国、インドそしてEUに比べ、はるかに少ない。ロシアのセルゲイ・ドンスコイ天然資源エネルギー相は「2035年までに、ロシアは再生可能エネルギー源発展のために530億ドルを拠出する計画だ」と伝えた。
昨年11月パリで開かれたCOP21(第21回国連気候変動枠組条約締約国会議)で話された、エネルギー効率と再生可能エネルギーに関する指数を達成するためには、21世紀の半ばまでには、全体として世界のエネルギーの40%を、原子力発電を含めた炭酸ガスの排出量が0%の技術を使って生産しなければならない。