ニューズウィーク誌は、イタリアのパルメザンチーズ、スペインの生ハム、ギリシャのオリーブはモスクワのスーパーマーケットから姿を消したが、そのかわりに「母なるロシアの大地にある農場、草原、森が育てた食料品」が取って代わっている、と報じている。
「ヒップスターたちにインスピレーションを得た手工芸的な革命が起こったおかげでモスクワは欧州で一番おもしろいクイジーンが楽しめる首都になってしまった。」
地元で取れた生産物しか口に入れないという厳格な食事制限をしく地産地消(ちさんちしょう)の動きは世界中で高まっている。その一方で地産地消を実行することは、実際は大半の国では容易い選択ではない。ところがロシアの場合、これは普通に実現できることなのだ。
「自分の住んでいる土地が自分を食べさせてくれる。これは実にシンプルで美しいアイデアです。モスクワでの仕事はスリリングな体験でした。コックたちは全てをゼロから発想する意欲に燃えています。」先日までモスクワのレストランにシェフとして招かれていた仏の料理家のジェロム・ロメルさんはニューズウィーク誌に対してこう語っている。
ロメルさんは「肉とじゃがいも」ばかりを食べてきた街でベジタリアン・グルメを確立した。こうしたメニューはロシア固有のものではないものの、食材はロシアのあらゆる土地から集められたものばかり。
「私たちはロシア中をくまなく探し、食材を集めています。ロシアの様々な地域を讃え、それぞれから食材をモスクワへと運び、この国にどんなものがあるのかをみんなに知ってもらう手助けをしているのです。」ロシアの農場コーポレーションで、シベリアのトナカイの肉や有名なロシア版ギョウザ「ペリメニ」など、国産のおいしい食材だけを扱っている店、「ラーフカラーフカ」の代表はこのように語っている。