「株式を含め、リスク回避の動きが極端に金融市場全体で進んでいますから、供給過剰感が残る中で原油相場も目先は上がりにくいと思います。
日本の現物取引に関して言うと、メーカーは灯油の精製コストに見合うだけのマージンがとれていない状況でした。このところ気温低下で灯油の需要が出てきたので、足元ではマージンを確保しようという動きになってはいます。一方でガソリンは冬本番になると需要が伸び悩みますから、ガソリンのマージンは縮小傾向です。
この専門家は、ロシアの石油は相対で取引されているため、先物取引市場関係者にとって実態がつかみにくいと指摘している。
「ロシアとの取引は、商社が相対でロシアの石油会社から製品をもってくるとか、元売とメーカーが直接やり取りをしていくという相対取引です。ロシア産の原油は中東産に比べて軽質で、ガソリン・灯油等の、精製における中間以上の石油製品がたくさんとれます。ですから価格帯が安ければ、距離も近く、中東を経由するタンカーに比べてリスクも少なくなると思います。エネルギーの安全保障という意味では、ロシアからの輸入を増やして原油の調達場所を分散した方が、日本にとって良いでしょう。しかし市場取引でなく相対であるということから、私たちのように中東産原油を中心にマーケットを捉えている商品先物業界にとっては、詳しいことが分かりかねるのです。」
また、日本の大手商品先物取引会社「日本ユニコム」の主席アナリスト菊川弘之氏もやはり、エネルギーの調達先を分散することが日本にとって重要だと指摘している。
菊川氏「米国の内向き姿勢の強まりで、中東情勢の不透明感が高まる中、3.11以降のエネルギー政策の行方が明確になっていない日本にとって、原油価格低迷の今こそ、輸入先の分散化を図るべきでしょう。中東以外の分散先として、米国のシェールガスやオイルに対しての期待が高まっていますが、同時に地理的に近いロシアの天然ガスをパイプラインで共同開発するなどの施策は、政治的にも経済的にも意義がある事だと個人的には思います。」
菊川氏「昨年大晦日に、ロシアのヒョードル選手が格闘技大会でのメインイベンターを務め、大成功をおさめました。武道を学ぶ日本人の一人として、柔道家でもあるプーチン大統領の下、武道などを通じた文化交流を含め日露両国が、より良い関係になる事を期待しています。」