研究では、他のマウスに喧嘩を仕掛けて勝ったマウスの脳にどんな変化が生じているのかが調べられた。マウスは喧嘩で勝つことによってより攻撃性を増す。そうしたマウスを調べると、脳の構造の中でも重要な位置を占める海馬(かいば)に新たな神経細胞が現われていた。
海馬のほかにも、喧嘩が続けられた場合、扁桃体(へんとうたい)の神経細胞の活性化にも一定の変化が認められている。扁桃体については、研究者らからは、ヒトの扁桃体と自閉症の発病など一連の病理プロセスとの関連が指摘されている。
実験では攻撃するマウスには不安感が増し、他のマウスとのコミュニケーションに障害を起こすなどといった症候が見られた。こうした症候の一部は自閉症で現われる症候に似ている。
研究者らは、攻撃性についての神経科学的基礎の今回の新たな情報が攻撃性の理解につながるだけでなく、自閉症やそれに類似する病気の原因解明など、他の分野の研究を後押しするものとなることを期待している。