徳島県とロシアとは、ちょっと意外な組み合わせだ。徳島からロシアへの扉を開こうと中心になって尽力しているのは、東海運株式会社(徳島県徳島市)の荒木政人取締役である。荒木氏は、昨年11月にハバロフスクで開催された徳島県産品の商談会においてプロジェクトの中心となった。商談会には県内6企業が出品した。
東海運株式会社は国内の物流をメインに取り扱っているが、新しいビジネスパートナーとしてロシア極東に関心をもっており、物流面でのサポートのみに留まらず、ロシアの取引先を開拓することを通じ、県内企業をバックアップすることにも重点をおいている。各都道府県が県産品の販路をアジア諸外国へ広げるようになって久しい。荒木氏は、すでに競争の厳しい香港やベトナム等に比べると、ロシア極東にはチャンスがあると見ている。また、商品を集めて1コンテナを仕立てることができれば、瀬戸内に位置する徳島の立地は大きいハンデではない。
荒木氏「ロシアとの貿易は地理的な部分で言えば日本海側のほうが有利だというのが一般的な考えですが、そんなに大きな差はないと思います。徳島からは、釜山行きのコンテナ航路があります。徳島から釜山を経由し、そこで積み替えてウラジオストクに届けるというコンテナ航路が使えれば、基本的に地理的条件はあまり差がないんですよ。もし1コンテナに満たないのであれば鳥取の境港経由になってしまうので、国内の物流費がかさむことにはなりますね。徳島の場合は神戸港も近いです。神戸港からは、ロシアの船会社が神戸からウラジオストクまで直行で船を出している場合もありますし、その利用もできないことはありません。物でなくて人が行く場合は成田経由になるわけですが、成田から2,3時間ですから、そうそう遠くもないと思います。」
荒木氏は、ロシアビジネスの第一段階となる商談会を終えて、手ごたえを感じているが、これはスタートにすぎず、これから気長に取り組んでいきたいと話している。
荒木氏「ハバロフスクを訪れてみて、親日的な考えの方が多いと感じました。商談会に来て頂いた方々の中には、日本製品を販売する店舗を持っていたり、スーパーを経営されている方もいらっしゃいました。街は静かですが、意欲的な企業人の方がいらっしゃるな、という印象をもちました。日本産品に対する品質面、安全面での信頼感も感じました。商談会後、様々な打ち合わせが続いており、ビジネスが成立するように可能性を追求しているところです。」